ゼロの視点
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高速道路を逆走する高齢者が、年々増えているような記事などを目にするようになって久しい。年々増えているのか、もともといたのだが、ただ記事が増えてきているのかはしらないが、実際に私、逆走高齢者に遭遇したことがあるのだ。
それはそれは、まだ私が若かりし大学生の頃のこと。高速道路ではないものの、クルマ専用有料道路の追い越し車線を颯爽と走っていたときのことだった。
その日の有料道路はそれほど混んではいなかったものの、それなりに片側3車線が適度にクルマで埋まっている状態だった。追い越し車線にいた私の前には、ちょうどクルマはなく、私が先頭をいくようなカタチでしばらく進んでいた時のことだった。
遠く前方に見えるクルマが一台・・・・・。普通だったら前方のクルマの後ろが視界に入るはずなのに、みればみるほど、前に見えるクルマはのリアガラスではなくフロントガラス・・・・・・。
えええええぇぇえぇえええええっ?!?!?!、と思うのもつかのま、あっという間にそのクルマは私に向かって進んでくるので、慌てて隣の車線に逃げ、間一髪で危機から脱出!。隣の車線にうつりながら、前方から来たクルマが私の右脇を通り過ぎていく光景をスローモーション映像のように、今でもよく覚えている。
恐らく今の時代だったら、もみじマークを推奨される年齢の殿方が運転し、その隣には同年輩の妻らしき人が同乗していた軽トラック。運転するじいさんが、間違って反対車線に入ってしまい、引き返すにもどうにもこうにも何もできないまま、低速ながら逆走を続けていたのだと思う。
焦りに焦りまくった運転手のじーさんの顔は、まさにムンクの絵画《叫び》状態で、口が縦長にぱっかりあいており、絶対に「ああああああぁぁああああっ !!」と、車内で叫んでいたに違いない。彼の隣のばーさんは、ただ目を見開いて助手席にはりついたままのように見えた。
私を先頭に、続々と後続車が隣車線に移っていき、じーさんのクルマはただただ私とは反対方向へ進んでいき、バックミラーで確認できる時点まででは、事故も発生することなく、そのまま私の視界から彼らは消えていった。もし、隣車線に逃げるスペースがないほど、混雑していた場合は、とんでもないことに・・・・・などと思うと、ちょっとゾッとしたりもする。
その後、新聞やテレビニュースで、逆走老夫婦の事故のニュースを耳にすることもなく、まだネットニュースも発達してなかった当時は、その後を調べようにも手段がなかったので、きっと彼らは無事だったんだと、私の中で、勝手に結論づけている。
さてさて、クルマを持たないパリジャン・パリジェンヌ生活をしているから、こっちではこういったことに巻き込まれる心配もない♪、などと油断してた私。昨年、酔っ払って夜中にチャリンコ乗っていたら、知らない間にパリ環状線の入り口に入り込んでいたことがあった。
高速逆走ならぬ、高速で、日本人♀がチャリで酔っ払い走行して吹っ飛ばされて死んだら、どんなニュースになるんだろう・・・、とあとで顔を赤らめるのがやっと・・。人の振り見て我が振り直せ・・・、とは、こんな私にある言葉だなと、神妙に思ったゼロでした。
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