ゼロの視点
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このままずうっとベッドでダラダラしていたい・・・、と思っていたところに、一足早くでかけていた夫から電話・・・・・。「絶対に、おもしろくなるから、講演会に来るべきだ!」と・・・・。
ううーーーん、と、数分布団の中で迷った後、やっぱりどうも自分の第六感からも“講演会へ行ったほうがいい”というレスポンスがびしびしきてたので、サクッと起きて、あっという間に着替えセーヌ河を越えて、講演会会場へ出向く。
二人の哲学者、Luc Ferry(リュック・フェリー)とAndré Comte-Sponville(アンドレ・コント=スポンヴィル) による講演会会場は、すごい人の数だったが、いちおう講演会申し込みをきちんとしておいたので、問題なく会場い入れてもらえ一安心。
Luc Ferryのほうは、哲学にまったく興味のない人でもフランス人だったら誰でも知ってる?, というくらい有名な人で、2002〜2004年の間、ラファラン首相のもとで、教育大臣としての任務も果たしている哲学者。一方、André Comte-Sponvilleについては、Luc Ferryとの共著を出版していることぐらいしか、知らないまま講演会に出向いた私。
講演会は、André Comte-Sponvilleが最初に話し始めた。そして、彼が話し始めてすぐに、何か啓示をうけたかのように、鳥肌がたちはじめた私。自分のぴったりの音楽、あるいは演奏法をする音楽家が奏でる音に出会った時と同じ、激しい高揚感に見舞われたのだ。
André Comte-Sponvilleの言葉選び、論の進め方、既成概念の崩し方、比喩の提示の仕方、リズムなど、すべてにおいて、私は彼の虜になってしまった♪。と、思ったら、同じくこの日までAndré Comte-Sponvilleについて、あまり知らなかった夫も、完全に彼の虜になっている様子(笑)。
このまま、2時間、3時間でも彼の話を聞いていたいぐらい、まったく飽きることのなかった講演内容で、あのままベッドにいないでよかった・・・、としみじみ思ったほど。それにしても、ここまで高揚するのも久しくなかったこと、いやいや、本当に素晴らしい出会いに恵まれ、嬉しい限り。
Luc Ferryの講演は、彼の第一声が《Déconstruction(デコンストリュクシオン)》、つまりは日本語でいう、あの《脱構築》にはじまり、長いこと哲学分野から遠ざかっていた私には、この言葉が、プルーストのマドレーヌのような効果をもって響いてきたので、ニタニタしてしまった。
それにしても、脱構築とは、なんともいえない日本語訳だと思うのは私だけだはなかろう。かなり無理があると思うのだが・・・・・。この言葉だけが一人歩きしていた、一時期の日本現代思想界を思うと、余計ニタニタしてしまう。
家に戻ってきてからというもの、夫と二人でAndré Comte-Sponville数々の講演を動画サイトで検索しては、鑑賞する・・・、というのを繰り返している私たち。
この分だと、当分の間、我が家での《André Comte-Sponville祭り》は終わりそうにない♪。
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