KENの日記
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2002年09月15日(日) ジャフナ訪問

明日16日から、タイのバンコクにおいて、スリランカ政府とLTTE(反政府組織のLiberation Tigers of Tamil Eelam )との和平会談が始まります。スリランカの民族対立抗争は20年以上続いていたものですが、昨年12月から停戦状態が続いていて、本格的な和平交渉がはじまるのです。LTTEは現在スリランカ北部地域(Vavuniyaから北の地域でJaffna半島の入り口までの地域)を支配下に置いているのです。


私は先週LTTEの管轄地域を通って北部の都市ジャフナへ行ってきました。この2月から、KandyとJaffnaを結ぶA9道路が再開されており、LTTE地域を通過することが可能となっているのです。Jaffnaに行くには国内空路を利用することもできます。この空路はJaffnaとコロンボを約一時間で結んでいます。もちろんLTTE支配地域上空を飛ぶのではなくインド洋を北上するのです。


A9道路を車でコロンボからJaffnaまでいくには約400Km走ることになります。北部地域の政府支配地域とLTTE支配地域の境界にはそれぞれの検問所が置かれています。政府側の検問所を通過し、LTTE側の検問所で再チェックが行われてLTTE支配地域に入ります。そしてLTTE支配地域約100Km通過して、LTTEの検問所を通過したあと、政府側の検問所で検査が行われ、政府側支配地域(Jaffna半島)に入ることになるのです。政府側の検問で非常に厳しくチェックされました。


Jaffaの町は内戦でかなり破壊されています。私の会社の電話交換施設の建物もかなり破壊されていました。その建物は有名なJaffnaの「Fort」のすぐとなりにあるのですが、Fortに立てこもった政府軍とわが社に立てこもったLTTE軍との間の交戦により天井や壁が破壊されたのです。観光名所の五角形のFortも破壊されました。今は残った石垣と藪だけの状態で立ち入り禁止になっています。


我が社は停戦が実現した後、いち早く建物を活用して電話設備増設に着手し、先週そのオープニングを迎えることができたのです。Jaffnaの多くの家屋にはまだ電気が通っていません。家屋の修復、電気水道の整備等インフラの回復にはまだまだ長い年月が必要です。


途中通過したLTTE支配地域はJaffnaを上回るほど完璧に破壊されています。地図には町の表示がありますが、町らしい町はLTTEの本部のある「キリノッチ」くらいです。この町も旧市街は完全に破壊されていて、隣接する別な所に町が少し再建されている程度です。LTTE支配地域はほとんど復興の手がついていないのです。車窓から見える風景は、アルナダプーラとかポロナルーワの破壊された古い遺跡に酷似しています。家の土台や石柱が残っているのです。しかしここは、古代遺跡ではなく「10数年前」に破壊されたものなのです。さらに埋設された多くの地雷は撤去作業がまだ緒に着いたばかりです。和平交渉の後の復興は大変な仕事です。しかし、この復興作業が順調にすすまない限り和平は継続しないでしょう。




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