スリランカの内戦停戦からそろそろ一年が経とうとしています。しかし、北東部からは、こまった情報が入ってきています。北東部では停戦の継続を睨んで、道路・鉄道・水道・通信などのインフラの復旧作業が進もうとしているのですが、LTTE(反政府組織)がその工事業者に対して、税金を課そうとする動きが出ており、作業がストップするという事態です。
ここは、本当に「停戦」を冷静に考える必要があります。つまりコロンボとか南西部の地域での停戦は、経済活動を邪魔される紛争・テロがないという快適な状態ですが、北東部においては「武器を持ったまま戦争を中断する」という程度の意味で、破壊されたインフラ・産業がすぐに復興したり、国内外に退避した住民が戻ってきたりという状態ではないのです。つまり、LTTE支配地域には紛争を止めたときに、軍隊を維持する産業・流通というものはほとんど存在しないのです。
それなのに、和平会議といったら、二月の停戦合意、9月の第一回和平会議、10月末の第二回会議とそのテンポは非常に遅いのです。その間、この国のタダひとつの大都市コロンボでは内戦停戦状態を謳歌しているように見えるのです。私は9月にLTTE支配地域を通って北部の「Jaffna」まで行きましたが、破壊されつくしたLTTE地域とコロンボの差の大きさに驚きました。
「停戦」という言葉を、「銃をもったままで、しばらく待て」という状態から「銃を置いて、スコップと鍬を持ち復興に取り掛かれ」という状態に換える必要があるのです。そのためには、外国からの援助も必要ですが、スリランカ国民が、この状態の危険性に気づいて北東部に手を差し伸べる必要があると思います。
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