KENの日記
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2014年09月10日(水) ナポリ2日目:歴史地区散策

「ホテルの朝食・キアイア通り散策」
キアヤ・シャルメ・ホテルでの朝食は簡素なものでした。ジュース・パン・ヨーグルト・フルーツサラダ・コーヒー等が準備されています。イタリアの朝食では肉類とかソーセージとか食べないのかしら。しかし昨日夕食をたっぷり頂いたたので朝食は軽い食事でOKでした。食堂では必ずコーヒーを一杯ずつキチンと作ってくれます。エスプレッソを一杯ずつ作る機械はどこにでもある感じです。朝食の他のオカズを準備するよりも「コーヒー」を美味しく作ることが大切なことのようです。

朝食後にホテルの面している「キアイア通り」を散歩してみました。私達には全く関係ないのですが、この道はナポリでも指折りの高級なショップの並んだ通りです。プラーダとかアルマーニが並んでいます。この道を急ぎ足で通り過ぎる人達は概して素敵です。一方でナポリの観光地の路上では「プラーダ」「ヴィトン」等のマークの入った「偽」革鞄が平気で売られています。

「ナポリ歴史地区散策・ナポリドゥオーモ・司教座美術館」
今日のナポリ散策のポイントは「ナポリ歴史地区」です。「ナポリドゥオーモ」を出発点としてナポリ歴史地区の教会・人形屋街等を見学しようという計画です。ナポリ歴史地区は「DECUMEN」というローマ時代に作られた東西を結ぶ3本の道路を基本にして出来ています。トリブナリ通りは南北に3本並ぶ「DECUMEN」の二番目(中央)にあたり、ナポリドゥオーモの直ぐ南側を通っています。この3本の歴史ある道路は道幅が狭く、5階程度の中層の建物が道路の左右に聳えていて、洗濯物が様々乾してあって「ナポリ独特の風景」となっています。

「ウンベルトバス停」でバスを降りてドゥオーモまで歩くことにしましたが、この南北に走るドゥオーモ沿いにも幾つかの面白いポイントがあります。丁度朝の礼拝で開いていた「S.GIORDIO MAGGIORE教会」に寄って今回の旅の無事を祈りました。またその少し北の「CARMINELLO AI MARRESI」では1世紀から4世紀のミトラ教教会遺跡が柵で囲まれています。ナポリ歴史地区には古代ローマから中世バロックまで数世代にわたる遺跡が層状に埋まっているので地下鉄工事は大変です。路線拡張工事が続くナポリの地下鉄路線は前回訪問時から全く進んでいませんでした。

ナポリドゥオーモはナポリ教区の「司教(ビショップ)座」を擁する教会です。ナポリはローマに近くかつ強大なナポリ王国首都であったのでナポリ司教は非常に権威があったことが想像されます。壮大で厳かなナポリ・ドゥオーモを拝観した後に、ドゥオーモの北側にある「SANTA・MARIA・DONNAREGINA教会」とそこに併設されている「司教座美術館」を見学しました。

これまでナポリを訪れる観光客にとって美術品を鑑賞する目玉は、市内の「ナポリ国立考古学博物館」と「カポディモンテ国立美術館」でした。どちらもナポリ王国を治めたブルボン家(アンジュー家)の収集したコレクションを展示しています。これらはファルネーゼコレクションとして世界的に有名です。

これに対して「ナポリ司教コレクション」はこれまで系統立て展示されることはありませんでした。バチカン博物館はローマ教皇のコレクションですが、有力なナポリ司教コレクションも十分に凄いのだろうと思われます。最近になってその司教コレクションを整理し展示するためにこの「SANTA・MARIA・DONNAREGINA」教会が整備され次第に美術館として展示物を展示する活動が進んできたようです。

美術館でボランティアで説明しているという「Maria Villet」さんが私達と一緒に回って展示品等の説明をしてくれました。ナポリ教会の宗教画はルネッサンス後期からバロック(17世紀)に属するナポリ絵画派の画家達による作品が主要なものです。フィレンツェで始まりヴェニス・ローマに伝播していったルネサンス芸術はナポリにも伝わり、ナポリの画家達はその影響を受けました。元々教会の数が多く需要があったので「ナポリ派」と呼ばれる画家集団が形成され教会絵画を沢山描きました。

「光と影」を巧みに使って劇的な画面構成を得意とする「カラヴァッジョ」がナポリに移り住み画家達に影響をあたえたことから、ナポリ派も「光と影」を使った多くの作品を残しました。しかし残念ながら「カラヴァッジョ」のような天才は現れませんでした。逆に絵は全体に「暗く」なり、作品のモチーフはイエス・聖人の受難伝説をこれまで以上に残酷に表現するような少し異様な世界に入っていってしまったようです。美術館に展示されている絵画の多くがこのような範疇の作品なので正直言って見て回ると「気が滅入り」ました。この感想はサンマルティーノ修道院の印象と全く同じです。これからこの司教座美術館をナポリ観光に目玉にしていくためには、もう少し古い作品を多く展示するなど作品の選択に配慮する必要があると思いました。

「有名店マッテオのピザ」
お昼まで少し時間がありましたが少し早い方がレストランが空いているだろうと考えて早めの昼食をとりました。ドゥオーモからも近いトリブナーリ通りにある人気ピッツェリアの「マッテオ」でピザを頂くことにしました。ナポリピザ二軒目です。昨日の夕御飯を少し食べすぎたので、昼は「マルゲリータピザ1枚」と「白ワイン小瓶」を注文しました。地元でも人気があるピザ店だけに「マルゲリータ」は本当に美味しかったです。

隣で食べていた観光客が普通のピザを一人一枚食べ終えた後にマッテオ名物の「揚げピザ」も注文しました。全部は食べられそうに無いということでその名物ピザを少し分けてくれるというので、お腹の調子と相談して少しだけ切り分けて貰って試食しました。正直言うと少し油っぽくて普通のピザの方が格段に美味しいと思いました。

「ナポリ・スリグループに遭遇」
マッテオで食事を食事を終えて次の訪問地の資料を見ようとリュックサックに入れておいたファイルを探すとファイルがありません。どこかにに忘れたかと考えましたがそれも思いつかないのでホテルに置いてきたのではないかと考えてホテルに戻ることにしました。ドゥオーモ通りからそれほど離れていないので「C2」バスでホテル近くまで戻ることにしました。このバスの中で今回の旅で忘れられない思い出となった「ナポリスリ団」に遭遇したのでした。その詳細を以下に記しておきます。

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そのバスはナポリセントラル駅から観光名所のサン・カルロ劇場を往復する「観光客」も良く利用する路線です。私達の乗ったバスは大変混雑していて、私達夫婦も後ろの扉から乗ってバスの中でギュウギュウ詰めになりました。忘れ物を取りに行くという「目的」があったので混雑バスを遣り過ごすという知恵は働きませんでした。

スリは集団行動で獲物を追い詰める作戦に出ました。或る者は切符に日付を押すことを口実にして動き、また別の者は次の停留所で降りる振りをして私を押して、妻と引き離そうとしました。この時に訳の分からないイタリア語で大声で話しかけるので、こちらは困惑してしまいます。私のリュックには金目の物は入れて無くポケットの財布には私は始終手を当てていることを感知したスリ集団は妻に目的を絞ったようでした。

スリ集団は先ほどの撹乱戦法で妻と私の間に何人かの人の壁を作ることに成功しました。さっきから私を押していたリーダらしい男が中心になって妻を取り囲んでいる様子が見えました。これが私達が降りる一つ手前の停留所のことです。「不味い」と思って最終停留所手前で私が強引に動いて困惑する妻をスリ集団の輪から引っ張り出しました。丁度停留所に着いたのでそのまま直ぐに停留所に降りました。妻は脇腹のあたりから伸びたスリの手に気付いていて、肩掛け鞄のチャックを1/3程開けられたところで鞄を体の反対側に引っ張ってスリの手から逃れたとのことでした。

青い買い物袋をもったスリのリーダらしき男その最終バス停で降りずにまた同じバスに乗って戻っていってしまいました。折口のドア越しに「彼」と目があいましたが「彼」は何の表情も変えずに過ぎ去っていきました。ナポリのバスでは一回一回切符を買わずに定期を利用する人が多いので地元人(若い男)が切符に刻印を押してもらうためにバス内を移動することはまずないのです。基本的に観光客はバスの前方(運転手の居る方)に乗るべきですが、スリ集団がその入口に陣取ってワザと後ろに乗せようとする手口だと後から分かりました。そして混んでいる後ろから前方に移動しようとすると吊革などにしっかり捕まって「獲物」の移動を邪魔します。

ナポリの石畳道路を走行するバスがガタガタ揺れて音は煩いし、一方通行の道ではカーブが多いためにバスは揺れます。スリ集団はバス停の間隔だとか道の状況を熟知して作戦を実行してきます。兎に角悪名高い「ナポリスリ集団」からのがれることが出来きたことは良かったです。
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「シメリオ楽譜店」
ホテルに忘れてきた旅行ファイルを持って午後から気分を一新してナポリ見物に向かいました。今日の朝はトリブナリ通りをドゥオーモ側から歩きましたが、午後はダンテ広場側から歩くことにしました。というのもダンテ広場に近いベッリーニ広場近くの「シメオリ楽譜店」に行くためです。この楽譜屋さんは音楽学校の正門の向にありかなり本格的な楽譜屋さんです。前回の旅の時にも来て買わず終いだったし、今晩の夕食は「カンツオーネレストラン」なのでカンツオーネの楽譜を買いました。

「サンセヴェーロ礼拝堂」
買い物をした後トリブナリ通りから南に延びる大変細い「サン・ドメニコ・マッジョーレ通り」で「サンセヴェーロ礼拝堂」と「サン・ドメニコ・マッジョーレ教会」に向かいました。サンセヴェーロ教会はベールを纏った横たわるイエス像で有名です。素晴らしい彫刻でした。この作品は18世紀の彫刻家ジョゼッペ・サンマルティーノの作品です。この教会の地下室には人間の血管だけを残した人体模型が展示されているという風変わりな礼拝堂です。パンフレットによればこの礼拝堂をにてを加えたサンセヴェーロ公爵が科学(錬金術)に造詣が深かったのだとこことです。この礼拝堂内は一切撮影禁止で各所に厳しい顔をした警備員が目を光らせているのは少し異様な感じがしました。

「サン・ロレンツォ教会」
引き続き「サン・ドメニコ・マッジョーレ教会」に行きましたが教会は休憩時間で閉まっているので、「サン・グレゴリオ・アルメノ通り」のプレゼピオ屋街を経由して「サン・ロレンツオ教会」に向かいました。今回のナポリ旅行の隠れた目玉として「ナポリの地下」というのがあります。サン・ロレンツォ教会の地下、またトリブナリ通りのナポリ地下散策、明日行ければ行ってみたいカポディモンテ美術館に近い「サン・ジェンナーロ・カタコンベ」と候補地は考えてありました。今日はまず「サンロレンツォ教会」の地下を見ました。

現在の教会敷地の下には大規模な古代都市の遺跡があるのです。ポンペイ遺跡と同じような古代都市で古代の道・家屋の様子を見て回ることが出来ます。但し違う表現を使うと「ボロボロの崩れたレンガ・石の構造物が延々と続いているだけ」で非常に単調で面白味のないものでした。残念ながら私達の他には誰一人見物人はいませんでした。前回の旅で「ポンペイ」を堪能していたのでこのナポリの地下遺物は格段興味を引くものではありませんでした。ということで「サン・ロレンツォ」の西側にある「ナポリ地下街」の見物も取りやめることにしました。

「プレゼピオ」「コルノのお守り」
「サン・グレゴリオ・アルメロ通り」では「コルノ」と小さな「プレゼピオ」をお土産に買いました。プレゼピオは観光客向けの「お土産」とは別に、地元の人達用のクリスマス・デコレーション・プレゼピオが作られ売られています。人間の形の物もあるし、家財道具、食べ物等で要すれば粘土細工の高級な「ママゴトセット」の部品といえると思います。かなり高価なもので毎年何種類か買い足してだんだんにコレクションが増やしていくようです。

こうした古いピレゼピオのコレクションが昨日行ったサン・マルティーノ修道院の美術館に陳列れていました。日本の大規模な「雛飾り」のようなものだと思いました。お土産用のプレゼピオを買い求めた店の女性従業員は「コルノのお土産」の安価なプラスチック・ガラス製の物は中国製だと教えてくれました。私も訝しく思っていたのですが、小さな唐辛子のような「赤いガラスのお守り」は横浜中華街で安く売られている「唐辛子のお守り」と同じ種類のようです。中国の唐辛子が先なのかナポリのコルノが先なのか。前回ナポリ旅行の際にはこれほど中国製「唐辛子お守り」の進出は無かったように思えます。中国恐るべしです。

この後は「ジュス広場」に出て「ジュス教会」を見学してホテルに戻りました。ジュス教会はイエズス会の教会なので一般的には質素な作りだとのことですが、ナポリのジュス教会は非常に「豪華」なものになっています。祭壇など他のカトリック教会に全く見劣りしない豪華さでした。教会内に「ザビエルの像」がありました。昨年旅行したマカオのザビエル関連教会もそうですが、ザビエルとは世界の色々な場所で出会うことになります。

「カンツォーネと夕食」
この日の夕食はジュス広場からそれほど遠くない「カンツオネッラ」というレストランを日本から予約していました。ここはグルーポンで安くディナーが食べられるということでメールで問い合わせ、グル―ポン価格で予約しておいたのでした。しかし何より惹かれたのはこのレストランで夜9時頃から生の「カンツォーネ」を聴くことが出来るという情報です。メールの問い合わせに親切に回答してくれた「アルバさん」という女性が歌も歌うらしいのです。ホテルで少し休んでレストランの予約時間の8時30分に出直しましたが、暗くなったナポリの街中で「サンタ・マリア・ノーヴァ広場」を探すのに少し手間取りました。

食事は「激安の値段設定」なので最初から期待は小さく実際にもその通りでした。別に10ユーロでナポリワインを注文しましたが、この安いナポリワインはなかなか美味しかったのにはびっくりです。

さてカンツォーネの話に入ります。「マルゲリータピザ」と並んでナポリの名物は「カンツォーネ」です。しかし観光客用の流しの歌ではなく、本格的な歌を聞きたいと思っていました。コンサート情報からカンツォーネコンサートがないか探しましたが見つからなかったのです。ネットで出合ったのは「トリップアドヴァイザー」の情報でした。「料理より歌が高評価」の投稿が多かったので予約したのでした。結果は大正解。私達は夜9時から11時ごろまでじっくりとカンツォーネを堪能しました。

レストラン奥にはちゃんと小さなステージが作られています。そこには電子ピアノがありますが基本的にはギター伴奏でした。出演は「ギターと歌担当のニコラさん」と「歌担当のアルバさん」です。レストランのアルバさんは私達にステージ横の特等席を用意しておいてくれました。

ニコラさんはどちらかというと「明るく楽しいカンツォーネ」が得意、アルバさんは「情熱的で激しいカンツォーネ」が得意なようで上手い組み合わせでした。歌われた歌の中で知っている題名をあげると、サンタルチア、フニクリ・フニクラ、帰れソレントへ、カタリ、カルーソーといった具合の定番が歌われました。その他に初めて聞くカンツォーネ歌はかなりの数に上りました。

観客の殆どは地元のナポリの人達のようです。客の中には二人の歌手に合わせてすべての曲を口ずさんでいる歌好きの女性もいました。客の中に「旦那の誕生日」のディナーに来ていてプレゼントの歌に感動しているイタリア人女性もいました。総じて歌好きのナポリっ子の肥えた耳にも通用する本格的なカンツォーネで、外国人観光客向けの観光用歌謡ショーを遥かに超えて地元の人々が楽しむ音楽でした。進行は殆どすべてイタリア語でしたので細かいやりとりは分かりませんでした。

ニコラさんの楽しい歌声、アルバさんの聞きほれてしまう語り口(特にカタリとカルーソー)は素晴らしいものでした。日頃オペラ歌手で聞いているカンツォーネとは違った本物の「歌」だったと思います。この歌を聴くことが出来たことだけでもナポリに来た甲斐があったというもの。スリ集団もナポリならば、感動的なカンツォーネもまたナポリなのだと思いました。夕食の後はホテルまで静かになった深夜のナポリを歩いて帰りました。




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