さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
目次へ|←遡る|時の流れ→
2002年11月11日(月) |
にゃん氏物語 帚木04 |
光にゃん氏訳 源氏物語 帚木04
『ずっと前に まだつまらぬ役をしていた時 私に一人の愛人がいました 容貌は悪い女でしたから 若い私はこの人だけで 一生を暮らそうと思わなく 物足りないので外に情人もいました 彼女は嫉妬する所が嫌ですが 自分のようなものを どうしてと 可哀想に思うときもありました 彼女は自分にできないことでも努力するのです 勝ち気ですが 私の機嫌を損ねないように表に出さず 容貌の悪さもわきまえ とにかく良妻で情も移りました でも唯一 嫉妬するこれだけは彼女にもどうすることもできず私も嫌でした
当時私は思いました こんなに私を好きだから 嫉妬させないようにできる
それで わざと冷たくして怒らせた時に言いました 「それなら別れましょう 夫婦でいたいなら 多少辛いことでも我慢して それで嫉妬しないようにできたら 貴方をどんなに愛することだろう 出世して ひとかどの官吏になるときは貴方が正夫人です」
彼女は少し笑い「貴方の出世を待つのは苦痛ではないが 貴方の多情さは 耐えられない こんな事をいいだしたのは 別れる気になったのですね」 と口惜しそうに言って 私の指に噛み付きました
「痛い痛い こんな傷まで付けられ侮辱された小役人は出世は見込めない 坊主にでもなる」と脅し「いよいよお別れだ」と私は言い家を出たのです
『手を折りて相見しことを数ふればこれ一つやは君がうきふし』 (今までの事を指折り数えても今回は辛く悲しい 言い分はないでしょう) と言うと さすがに泣き出して
『うき節を心一つに数えきてこや君が手を別るべきをり』 (嫌な事を胸一つに収めて我慢してきたが これこそ貴方と別れる時です) と 反抗的に言った…』
さくら猫にゃん
今日のはどう?
|