さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月12日(火) |
にゃん氏物語 帚木05 |
光にゃん氏訳 源氏物語 帚木05
『私は何日も手紙一つやらずに勝手な生活をしていたが 加茂の臨時祭りの 調楽が御所であり 夜も更けて みぞれが降っていました 皆が帰り 私の帰る所を考えると 彼女の所しかないのです 御所の宿直室ではみじめで 恋を遊びにしてる局の女房を尋ねるのも寒いから どうしてるかな?と雪の中を少しきまりが悪いが こんな晩にわざわざ行けば 彼女の恨みも消えるかな そう思い行くと暗い灯を壁の方に向け 暖かそうな 柔らかい 綿のたくさん入った着物をあぶり籠にかけ 寝室に入る時に上げる 几帳の布も上げて こんな夜は来るだろうと待っていた様子です
(あんな事を言っても待ってると)私は得意になるが 彼女は いません 留守番の女房に聞くと ちょうどこの晩に父親の家に移っていったと… 艶な歌も詠み置かず 気の利いた言葉も残さず 黙って行ってしまったので つまらなく あんなに嫉妬したのは私に嫌わせるためかと あらぬことを考えたのですが 着物も いつもよりちゃんと用意され 親切心が見えるのです
後の事も世話していったのですから 別れる気はないだろうと慢心し 手紙を書きましたが帰る気はないみたいだし 他の所に隠れる気でもないし 反抗的態度を取ろうとせずに 「前みたいでは我慢できない 態度を入れ換え 一夫一婦の道をとるなら…」 と言うのです そんな事を言っても根負けするだろうから 少し懲らしめて やろうと 一夫一婦にするとも言わず 話を長引かせているうち精神的苦痛を 味わいながら死んでしまいましたので 自分を責めても責めきれません
家の妻というものは あれくらいの者でなければと今でも想い出されます 風流事でも 真面目な事でも話相手になりましたし 家事は何でもできた 染物の立田姫にも 織姫にもなれた』と言う佐馬頭は亡き妻が恋しそうでした
中将は「機織りの織姫でなく 永遠の夫婦の七夕姫だったらよかったですね 立田姫も重要 男にまずい服を着させる妻はだめです そんな人が早く死ぬの だから ますます良妻を持つのが難しい」と指を噛んだ女をほめた
佐馬頭は語る『その時分に もう一人の情人がいましてね…』
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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