さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月17日(日) にゃん氏物語 帚木10

光にゃん氏訳 源氏物語 帚木10

「突然 そうなったのです 女の運命ほど 儚いものはありません」
『伊予介は大事にするだろう 主君のように思うだろう』
「さあ 私生活の主君でしょうか 好色すぎて 私ども兄弟は不愉快に思う」
『君みたいな現代風な男に伊予介は譲ってくれないでしょう 
あれで歳はとってるがりっぱな風采を持っているから…その人はどこに?』
「皆 下屋のほうに行かせたのですが間に合わなく一部は残っているかと…」
と紀伊守は言った 酔った家従たちは仮寝してしまったが源氏は眠れない

北側の音がする所が 話の女のいる室だろうと襖越しに物音を聞こうとした
弟の声で「どこにいるの?」『私はここで寝ているの お客様はおやすみ?
ここから近くてどんなに困るだろうと思っていたけど安心した』
「廂の間で おやすみになりました 評判のお顔は本当にお美しい方だった」
『昼だったら私も覘くけれど…中将はどこ?今夜は誰かいないと心細い…』

源氏は皆寝静まった頃 掛け金をはずすと襖は開く 反対側は掛ってなかった
女は女房の中将が来たと思った 
『あなたが中将を呼んでいたから私の思いが通じたのだとおもって…』
と源氏の宰相中将は言いかけたが 女は怖くて夢に襲われているようでした
『出来心とあなたは思うだろうが私はずっと前からあなたを思っていたのです
それを聞いて欲しくて機会を待ってた 前世の縁が導くと思ってください』
「人まちがいでいらっしゃるのでしょう」やっと息よりも小さい声で言った
『間違うわけがないじゃないか 恋する人の直感で貴方だと思ってきた…』
と言って片手で抱いて襖の所に来ると 呼ばれていた中将らしき女房が来た
中将は何もかもわかった 心配でならないが異論のはさみようがない
源氏の中将はこの中将をまったく無視していた 初めの座敷に抱いて行って
女をおろして襖をしめ『夜明けにお迎えに来るがいい』と言った

源氏は誠実な調子で心が動くはずと思うほど言っても 女は共鳴しない
「こんな御無理を承ることが現実とは思いません 卑しい私ですが
みさげてると思われる貴方の心持を私は深く恨みます 私達の階級と
貴方さまたちの階級は遠く離れて別のものなのです」
こう言って 強さで自分を征服しようとしている男を憎いと思う様子は源氏を
十分に反省させる力があった 『何故 私が憎いのですか…』源氏が言うと
「運命が私を人妻にしない時に こうした熱情で想われたなら 迷っても
他日に光明もあろうと思うが もう何も駄目です 私には恋も何もいりません
ですから せめてなかったことだと思って しまってください」と言う
悲しみに沈む女を源氏ももっともだと思い 真心から慰めの言葉を発している

鶏の声がして 家従たちも起きて「車の用意をしろ」という命令も下している
「早くお帰りになる必要は少しもないですよ」と言ってるのは紀伊守だった


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