さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月18日(月) にゃん氏物語 帚木11

光にゃん氏訳 源氏物語 帚木11

源氏は もうこんな機会も文通することも無理らしいので胸を痛めていた
彼女を行かせようとして また引きとめる 『どう連絡をとればいいだろう
冷淡なあなたへの恨めしさも恋しさも普通でない私が 今夜の事を
いつまでも 泣いて思っていなければならないのですか』

『つれなさを恨みもはてぬしののめにとりあへぬまで驚かすらん』
冷淡さに恨めしい言葉が言い果てない明方に 鶏まで私を急かせ言いたたく
あわただしい気持ちで源氏はささやいた 

彼女は源氏からどんなに熱情的に思われても嬉しくないし 愛情の持てない
伊予の国に愛されていて夢をみているのではないかと考えると恐ろしかった

『身の憂さを歎くにあかで明くる夜はとり重ねても音ぞ泣かれける』
(自分がつらい事を歎くのに十分でない 次の夜は 
   鶏の鳴き声を 重ねて 泣き声は泣かれてることだ)と彼女は言った

皆が 知らぬ物思いを 心に抱いた源氏だから 自分には ひどく身にしみる
夜明けの風景であった 言づて一つ都合よくできずに 気にしながら帰った

源氏はすぐに眠ることができなかった 再会の難しさの悲しみ だけの自分
それに比べて人妻のあの人は この他にいろいろ精神的苦しみがあるはずと
思いやっていた 優れた女ではないが感じの良さを十分備えた中級品だと
品定めの話を思い出していた

最近はずっと左大臣家に源氏はいた 何も言ってあげず彼女が苦しんでいると
(皆に秘密で逢ったから)自分も苦しんだ果てに源氏は紀伊守を招いた
『自分の手元に この間 見た 中納言の子供をよこしてくれないか 
かわいい子だったからそばで使おう 御所へ出すのも私からしてあげよう』

「結構な事で…あの子の姉に相談してみましょう」彼女の事が引き合いに
だされただけで 源氏の胸は鳴った『その姉さんは君の弟を産んでるの?』
「それはないです 二年ほど前から父の妻になってますが 死んだ親が
望むような結婚じゃないと思うのでしょう 不満らしいです」
『可哀想に 評判の娘だけど 本当に美しいの?(源氏はとぼけて)』
「さあ悪くはないでしょう 年取った息子と若い継母は親しくしないほうが
いいので 私はそれに従って何も詳しい事はわかりません」と紀伊守は答えた


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