さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月21日(木) |
にゃん氏物語 空蝉01(うつせみ) |
光にゃん氏訳 源氏物語 空蝉01
眠れない源氏は『私は こんなに冷たくされたことはなく今晩初めて人生は 悲しいものだと知った 恥ずかしくて生きていけない気がする』と言う 子君は聞いて悲しくて涙さえも零した 源氏は子君をかわいいと思った 子君の髪は彼女の髪に似ていると思った 彼女は無理っぽいので 言づて しないで翌朝早く帰っていった 子君は気の毒で物足りないと思う
彼女も大変すまなく思うが もう手紙も来ない 怒ってしまったのだと思い このまま 自分が忘れられるのは悲しかったが 無理な道理で源氏が 通おうとするのは続いて欲しくない だからこれで終わりならばそれでいい と理性では解かっているのだけれども 物思いにふけっていた
源氏はこのままやめられず あせって苛立っていた 『あんな恨めしい人はいないと思い 忘れようとも どうにもできず苦しい もう一度逢える機会を作って欲しい』子君は源氏に必要にされて嬉しかった
子供心に機会を狙っていて 紀伊守が任地に行き 女家族ばかりの日に 夕闇にまぎれて 自分の車に源氏を乗せて家に行く 東側の妻戸の外に 源氏を立たせて 子君は南の隅の座敷の外から 勢いよく戸を叩き開ける 女房たちは「そんなことをしたら皆から座敷が見られます」と小言を言う 『どうして こんなに暑いのに早く格子を下ろしたの?』と子君が聞くと 「お昼から 西の対の御方が来て碁を打っているのです」と女房が言う
源氏は 恋人と継娘が碁盤に向かい合っているのを覗いて見たいので 中に入って妻戸と御簾の間に立った 子君の開けさせた格子が そのままで夕明かりがさしこみ 西向にずっと向こうの座敷まで見えた 屏風は畳まれ 几帳も暑さのせいで棹に掛けられている
灯火が人の近くに置かれている 中央の室の中柱に寄り添って座ったのが 恋人だと まず目がいく 紫の濃い綾の単衣襲の上に何かの上着を掛け 頭の形は小さい 小柄な人である 顔は正面からも全部見えないように 注意をしているようでした 痩せた手は ほんの少ししか袖から出ていない もう一人は東向きなので すっかり見えた 白い薄物の単衣襲に 薄藍色の小袿(こうちぎ)らしいものを引っ掛けて 紅い袴紐の結び目まで 着物の襟がはだけて胸が出ていた とても行儀が悪い 色白で太っていて 頭の形と髪のかかった額つきが美しい 目 口もとが愛嬌あって派手顔だ 髪は多くて 長くないが二つ分けで顔から肩へかかったところが綺麗で 全体的に朗らかな美人に見えた 源氏は だから親が自慢するのだと 興味をもつ 源氏は もう少し落ちついた性格を加えてやりたいとふと思う
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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