さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月22日(金) |
にゃん氏物語 空蝉02 |
光にゃん氏訳 源氏物語 空蝉02
顔は部分的にはそうではないが全体的な姿はよくて 目を引かれる 明るくて愛嬌がある顔立ちで性格も明るく得意そうに はしゃぎ笑う所は 美人である 軽率だと思いながら源氏はこういう人もいいなと思った 源氏が知っているのは 皆 行儀よく つつましくしてる姿で こうした だらしない女の姿を見るのは初めてなので もう少し見ていたかったが 子君が戻って来そうだったので源氏も戻ると 子君が来た 済まなそうに 「普段来ない人が来て 姉のそばに行けないのです」 『そして今晩も 私を帰そうとするのか 逢えないのは来た甲斐がない』 「それはないでしょう あの人が帰ったら 私が何とかします」 子供だけど賢いので源氏はうまくいくかもしれないと思った
碁の勝負が終わったらしく 人が分かれ去っていく様子だった 源氏は『もう皆 寝るのだろう うまくやってくれよ』と言った 子君も姉の気持ちは動かせそうになく 姉に言わず寝室に導くつもりだ 『紀伊守の妹もいるのか ちょっと見させてくれ』子君は無理だと言った 源氏はそのとおりだが見たとは気の毒で言わず 夜に待つ苦痛だけ言う 子君は横の妻戸を開けさせ中に入り しばらく狸寝入りした後 妻戸の 前の室に源氏を引き入れた 人目について恥をかく不安を覚えながら 中へ入っていこうとする 皆が寝静まって衣ずれの音も響く
彼女は最近 源氏から手紙が来なくて安心だったが 今もあの夜の ことを思い眠れない 昼は物思い 夜は寝覚めがちであった 碁の相手の娘は 今夜はこちらに泊まるといって いまどきの子らしい 話題をおしゃべりしながら寝てしまった 娘はよく寝ていた 源氏がこの室に近づいて 衣服の持つ香が流れてくるのに気付き 彼女は薄衣の単衣を一つ着ただけで そっと抜け出した
源氏は女が一人で寝ていたので安心した 上にかけた着物をよけて 寄って行った時 前より大柄な気がしても なお恋人だと思っていた あまりよく目を覚まさないことなども不審で やっと人違いだと解かった あきれて悔しかったが 人違いといって出て行くのも怪しがられる 恋人が隠れているところへ行っても これほど逃げる人が逢うはずもなく 軽蔑されるだけだという気がして 継娘なら今夜の情人にしてもよい という心になった 源氏の恋人への あれほどの恋の深さも疑われる
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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