さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
目次へ|←遡る|時の流れ→
2002年11月23日(土) |
にゃん氏物語 空蝉03 |
光にゃん氏訳 源氏物語 空蝉03
ようやく目が覚めた女は驚くだけで 儚い心づかいもなく あわてもしない 自分はそんなつもりでない事にしてしまいたかったが 何故こうなったか 後で女が考えると 自分はどうでもいいが 恋しい冷たい人が世間体を 気にしていたので これで秘密を暴露させるのは可哀想だと思った それで度々 方違へに この家を選んだのは 貴方に近づきたかったから と言った 少し考えれば継母との関係が分かるだろうが若い娘心には ませているつもりでも 分からなかった
憎くないが心惹く事もないような冷たさを感じても 源氏の心は無常な人の 恋しさでいっぱいだった どこに隠れて笑っているのだろう こんなに想って あげるのはめったにないのに冷たいとあざける気になっても やっぱり 恋人が恋しい
しかし 何の疑いも持たない新しい情人も可憐に思われて 源氏は言葉 細やかに将来の約束もした 『世間に認められた仲よりも こうした秘密の仲のほうが恋を深くすると 昔の人も言っています 貴方も私を愛してくださいよ 私は世間への配慮が ないわけでもなく思い通りにできません 貴方の父や兄が この関係に 好意を持ってくれるかどうか心配しています 忘れずに待っていて下さい』 などと 安っぽい 浮気男みたいな口調で 言っていた 「人に秘密を知られたくないから 手紙を差し上げることもできません」 と女は素直に言う 『皆が怪しむようではいけないが この家の小さい殿上人に手紙を託して あげましょう 気をつけて下さい 秘密を知られないように』と言い置いて 恋人が脱ぎ捨てたらしい薄衣を手に持って出た 隣の室に寝てる子君を 起すと 源氏が気がかりだったのですぐに起きた 妻戸を開けると老女が 「誰ですか」とおおげさに言う 厄介だなと思いながら子君は「私です」と言う 「こんな夜中にどこに行く」お節介な老女が近づいてくる「ちょっと外へ出る」 と言いながら源氏を押し出した 明け方近くの明るい月光が人影を写す 「もう一人はどなたかな…民部さんでしょう 結構な 背丈ですね」背高女を 笑う 老女は子君が民部と一緒に行くと思う「今に貴方も高い背丈になる」 と言いながら外に出て源氏のそばへ来た「貴方は 今夜は居間にいたの 私はお腹の具合が悪くて部屋で休んでいたのに人不足で来いと呼ばれたが どうも我慢ができない…ああ 痛い 痛い また後で」と愚痴を言って去る やっと 源氏はそこを離れた 源氏は冒険はできないと懲りていた
さくら猫にゃん
今日のはどう?
|