さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月26日(火) |
にゃん氏物語 夕顔02 |
光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔02
できの悪い子でも乳母の関係で可愛がってる子なら非常に立派で全て良く 見えるのだから それが誰よりもできのいい源氏の君であれば誇りに思い 自分自身までも普通の者ではない誇りを持っている彼女なので 源氏から こんな言葉を聞いて ただただ嬉し泣きばかりしていた 息子や娘は母の態度をみっともないと思い 尼になったのにこの世の未練を お見せするようなものだと ひじを突いたり目配せをし合う 源氏は憐れみ
『母や祖母を早く亡くした私に 世話する人は沢山いるが 私が一番親しく 思ったのは貴方です 大人になってからは いつも一緒にいることができず 思う時にすぐ訪ねることはできないが 今でも長く会わないでいると心細い ほどですから 生死の別れがなければいいと昔の人が言うのを私も思う』 しみじみ話し袖で涙を拭く美しい源氏を見て こんな人の乳母であった母も 良い前世の縁を持っていたと さっきは批判がましい子供達も母に同情した 更に祈祷を頼むことなどを命じて 帰ろうとする時に惟光に蝋燭をつけさせ さっき夕顔の花を載せて来た扇を見た 使い馴らしたよい薫き物の香がする 扇に 綺麗な字で歌が書かれている
『心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花』 (当てずっぽうに貴方様と思う 白露の玉の光を加えて美しい夕顔の花は) 誰か解らないような散らし書きの字が上品に見える 意外なことなので源氏は 風流遊戯をしかけた女に興味を持った 惟光に『この隣は誰が住んでいるか 聞いているか』と言うと 惟光は主人の例の好色癖が出てきたと思ったので 「この五 六日母の家にいますが 病気の世話で隣のことは聞いてません」 と冷淡に答えると源氏は『面白くないと思ってるだろう でもこの扇が私の 興味を惹く この辺に詳しい人を呼んで聞いてこい』と言う
入って行き隣の番人と会った惟光は「地方庁の介の名を頂いてる人の家です 主人は田舎に行っていて 妻は若く風流好きで 女房勤めの姉妹たちがよく 出入りすると言っています 詳しい事は下人でよくわからないのでしょう」 と言った それでは女房をしている女達だろうと源氏は解釈し いい気で 物馴れた詠みかけをしかけたものだと思い 価値もない歌だが自分を 光源氏と見て詠んだ歌に返歌しなければいけないなと思った というのは女性に惹かれやすい性格だからである 懐紙に別人の自体で書く
『寄りてこそそれかとも見め黄昏にほのぼの見つる花の夕顔』 (もっと近くによって誰なのか はっきり見たらどうですか 黄昏時にそれとなく見えた花の夕顔を) 花折りの随身に持たせた 家の人は源氏を知らないがそれらしく思い贈った 歌に返事がなくきまりが悪いなと思ってた そこへわざわざ使いに返歌を 持たせてくれたのでこれに返事をしなければと皆で言い合ってたようだが 身分をわきまえないやり方に反感をもった随身は渡してすぐに帰ってきた
前駆の松明は仄かな明かりで源氏はひっそり出る 乳母の家窓は閉まってた 下ろした戸の隙間から 蛍よりも微かな灯火の光が見えて 哀れである
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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