さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月29日(金) |
にゃん氏物語 夕顔05 |
光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔05
霧が深く降りた朝帰りを急かされて 眠そうに嘆息をして出ていく 貴女の 女房の中将が格子を一間ほど上げて 貴女に見せようと几帳を引き開けた 貴女は頭を上げて外を見ていた いろいろ咲いている植え込みの花に心引かれ 立ち止まりながら源氏は 歩いて行く 源氏の姿は非常に美しい 廊の方に行くとき中将がお供した この時期らしい 薄紫の薄物の裳を綺麗に結んだ腰つきが艶であった 振り返って曲がり角の高欄に ちょっと中将を座らせた 主従の礼儀を わきまえた態度も額髪のかかり具合の美しさも優れた 優美な中将である
『咲く花に移るてふ名はつつめども折らで過ぎうき今朝の朝顔 どうする?』 (咲く花に心変わりしてしまったという噂は慎まなければならないけれど 折らないで 行き過ぎる事を受け入れられない 今朝の朝顔 どうする?) こう行って源氏は女の手を取った 女は馴れた様子で
『朝霧の晴れ間も待たぬけしきにて花に心をとめぬとぞ見る』 (朝霧の晴れる間も待たないでお帰りになる様子なので 朝顔の花には 心を止めていないように見えます)と言う 源氏の焦点をはずして 主人の侍女としての挨拶をした 美しい童侍の格好をした姿のいい童女が 差しぬきの袴を露で濡らしながら 花の中に入って行って朝顔の花を持って来る様子など 秋の庭は絵にしたい ほどの趣がある
源氏を遠くから垣間見ただけでも 美しさに心奪われない人はいない 物の趣を理解しない山男も 休み場所には桜の樹の下を選ぶのだから 身分のによっては 可愛い娘を源氏の女房にさせたいと思ったり 相応の 妹を持つ兄が 源氏の召使にでもさえ させたいと皆思った 何かに付け 優しい言葉をかけてもらえる女房たち この中将のような女は 鵜呑みに この幸福を思わない 情人になろうなどは思いもよらず 女主人の所へ毎日来てくれたら どんなに嬉しいだろうと思うのである
それから あの惟光の管理している五条の女の家を探るについて 惟光は色々材料を得てきた
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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