さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月02日(月) |
にゃん氏物語 夕顔08 |
光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔08
明け方近くになってきた 鶏の声じゃなくこの世の幸せを得る御岳教の 信者か 老人のような声で立ったり座ったり忙しく苦しそうに祈る声が 聞えた 源氏はしみじみ感じて 朝露と同じく短い命の人間がこの世に 何の欲を求め祈るのだろうと聞いているうちに 「南無当来の導師」と 阿弥陀如来を呼ぶ(南無阿弥陀仏と唱えれば死後極楽に行ける教え) 『聞いてごらん この世の幸せだけではなかった』とほめて
『優婆塞が行う道をしるべにて来ん世も深き契りたがふな』 (在家のまま五戒を受け仏門に入った男の修行の道を みちしるべにして 来世も深い約束に背かないで下さい)とまで言った 玄宗と楊貴妃の七月七日の長生殿の誓い(比翼の鳥連理の枝)は 実現されなかったので 来世も五十六億七千万年後の弥勒菩薩出現の 世までも変わらぬ誓いを源氏はした
『前の世の契り知らるる身のうさに行く末かけて頼みがたさよ』 (前世の宿縁の不遇さが身に辛いので来世まで頼み難い)と夕顔 歌を読む才も豊富では無さそうだ 月夜に出れば月に誘惑されて帰る ことができなくなると心配して躊躇する夕顔に 源氏はいろいろ言って 誘ううちに月も落ち東の空が白む秋の東雲が始まる(明け方になる) 人目につかないうちにと源氏は出るのを急ぐ 夕顔の体を軽々と抱いて 車に乗せ右近が同乗する 五条に近い帝室の後院である某院に着いた 院の管理人が来る間 忍ぶ草の生い茂る門の廂が見上げられた たくさんの樹が暗さを作る 霧も深く立ち湿っぽいのに 車のすだれを 上げていて袖もべったり濡れた『私は こんなの初めてだが妙に不安だ
『いにしえもかくやは人の惑ひけんわがまだしらぬしののめの道』 (昔の人もこのように恋の道に迷ったのだろうか 私には初めての 経験の明け方の道) こんな経験ある?』と言う 女は恥ずかしく
『山の端の心も知らず行く月は上の空にて影や消えなん』 (山と空の境がどこか知らないで ついて行く月は 地上よりずっと 上の空で光が消えてしまうのではないか)「私は心細いです」 某院の凄さに夕顔がおびえているようにも見える 源氏はあの小さい 家に大勢住んでいるのだから もっともな事だと思い 可笑しかった
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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