さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月04日(水) にゃん氏物語 夕顔10

光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔10

惟光が源氏を探し当て 用意したお菓子などが座敷に運ばれる
今までの とぼけた態度を右近に恨まれるので側に顔を出せない
惟光は源氏がこんなに熱心な女は魅力的な女なのだろうと考えて
自分がものにしようとすればできた女を源氏に譲り 自分はなんてお人
よしだろうと嫉妬しながら 自分を馬鹿だと思ったり源氏を羨ましがる

静かな静かな夕方の空を眺めていたが 奥の方は暗くて気味が悪いと
夕顔が思うので 縁の簾を上げて夕映えを一緒に見る 夕顔も源氏と
二人で過ごした1日で まだ揺れ動く恋心ながら 過去にない満足が
得られようで 少しずつ打ち解けて行く様子は可憐だった じっとして
源氏の側に寄り添い この場所を怖がっているのが若々しい 格子を
早めに下ろし灯をつけさせてからも 『私にはもう秘密が無いのに
あなたは まだ隠しているのが困る』などと源氏は恨みを言っていた

陛下はきっと今日も自分を呼んでいただろうが 探す人はどこに見当を
つけて どこを探しに行っているだろうと思いながら こんなに夕顔を
愛している自分を源氏は不思議に思う 六条の貴女もどれほど精神的に
悩み苦しんでるだろう 恨まれるのは辛いが恨むのは道理だと こんな
時でも気にかける 無邪気に男を信じ一緒にいる夕顔に愛を感じる
それとともに あまりにも高い自尊心に自ら苦しまされる六条の貴女が
思われて 少しそれを取り除けばと 眼前の夕顔に比べて源氏は思う

十時過ぎに 少し眠った源氏は枕元に美しい女が座っているのが見えた
「私が こんなに貴方を愛しているのに私を愛さないで こんな魅力の
 無い女を連れてきて 愛するのは あまりに酷い 恨めしい人」
と言って横にいる女に手をかけて起そうとするのを見た 苦しく襲われる
気持ちがして 飛び起きると その時 灯が消えた 不気味だから太刀を
引き抜いて枕元に置き右近を起す 右近も恐ろしくてしょうがない様子で
近くに出てきた 『渡殿の宿直人を起し蝋燭をつけて来いと言え』

「どうして そんな所まで行けましょうか 暗くて」と言うので
『ああ 子供みたいなことを』と笑って源氏が手を叩くと反響した
限りなく気味が悪い その音を聞きつけて来る者はいない 夕顔はとても
怖がり震えて どうしていいか解からない様子だ 汗もびっしょりかき
正気を失っている 「とても怖がる性格なので どんな気持でいるか」
と右近も言う か弱くて昼間も部屋の中を見る事もできずに 空ばかり
見ていた人だから 源氏は可哀相でならなかった

『私が行って誰か起そう 手を叩くと木霊がうるさい しばらくここに』
と言って右近を寝床のほうに引き寄せ 両側の妻戸口に出て 戸を
押し開けた 同時に渡殿についていた灯りも消えた 風が少し吹いている
こんな夜なのに侍者は少なく皆寝てしまっている 院の管理人の息子で
普段源氏が手元で使っている若い男 侍童が一人 いつもの随身
それだけが宿直していて 源氏が呼ぶと返事をして起きてきた


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