さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月04日(土) にゃん氏物語 若紫18

光にゃん氏訳 源氏物語 若紫18

父宮でなく源氏の君だと知った女王は うっかり言ってしまったなと
思って 乳母のそばに寄り「もう寝ましょうよ 私は眠い」と言う
『もう 遠慮などしなくていいですよ 私のひざの上へ寝なさい』
と源氏が言う
「話の通りでしょう こんなに幼くて」と女王を源氏の方に押し出す
女王はそのまま無心で座っていた

源氏が御簾の下から手を入れて触ろうとする 柔らかい着物の上に
ふさふさと掛っていて端の方まで厚みがある髪が手に触れて美しい
感じがする 手を掴むと父宮でもない男性が恐くて「私は眠いの」
と言って手を引き入れようとした 源氏はそのまま御簾の中へ入る
『今はもう私だけが貴方の世話人です 嫌ってはいけません』
源氏はこう言ってるが 少納言は「無理です 大変な事です
話をしても解からないでしょう」と困ったように言う

『いくらなんでも 私は幼い女王を情人にしようと思わない 私が
どれほど愛情があるか 見ていて欲しい』外はみぞれが降っていて
すごい夜だ 『この少人数で こんなに寂しい所に住めますか』
と言って源氏は泣いていた 見捨てては帰る気はしなかった
『もう戸をおろしなさい 恐い夜だから私が宿直人になりましょう
女房たちは皆 女王さまの室に集まりなさい』と言い 馴れている
ように女王を抱いて帳台(寝室)の中へ入った 皆は意外な事で
あきれていた 乳母は心配だが普通に扱えない相手に嘆息で見守る

小女王は恐ろしくて どうなるのか震えて鳥肌が立っている
可愛さのあまり源氏は彼女を単衣に巻いて肌着越しに寄り添う
こんなのは変だと自分でも思いながら 愛情を込めていろいろ話した
『ねえ来てみてよ 綺麗な絵があって お人形遊びできる家に』
こんな子供の気に入るような話をする源氏の優しい口調に 姫君は
恐さから だんだん開放されてきた しかし嫌な感じは忘れずに
眠ってしまう事は無く もじもじしながら横になっていた

この晩は 夜通し風が吹き荒れていた
「本当にお客様が来てくれなければ どんなに私達は 心細い事
でしょう どうせ同じ事なら女王様が結婚できる年ならばいいのに」
など女房たちは囁いている 心配で堪らない乳母は帳台の近くに
控えていた 風が吹き止んだ時はまだ暗かったが 帰る源氏は
本当の恋人と別れていく情景を思い起こさせる


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