さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月06日(月) にゃん氏物語 若紫20

光にゃん氏訳 源氏物語 若紫20

『今までも病気がちな年寄りと一緒にいたから 時々は邸の方に来て
母と子の付き合いができるほうがいいと言ったが絶対にお祖母さんは
そうさせなかった だから邸でも反感をもっている 亡くなったから
と言って連れていくのは 済まない気がするが』と宮が言う

「そんなに急がなくてもいい 心細くてもしばらくはこのままで
いいでしょう もう少し物の道理が分かる年になってから連れていく
のがいいと思います」少納言は答え「夜も昼もお祖母様が恋しく
泣いてばかりいまして あまりご飯を召し上がりません」とも嘆いた
実際に姫君は痩せてしまった しかし上品な美しさが引き立って見えた

『何故そんなに悲しむ 亡くなった人は仕方ない お父様がいるから』
と宮は言った 日が暮れてお帰りになるので心細くなって姫君が泣くと
宮も泣き『そんなに悲しまないで 今日明日にでも引っ越ししよう』
などと なだめて宮は帰った 母も祖母も失った女の将来の心細さから
ではなく 女王は ただ小さい頃から片時も離れず一緒にいた祖母が
亡くなった事だけがとても悲しいのである
子供心にも悲しみが胸を塞ぎ 遊び相手とも遊ぼうとしない
昼間は何とか堪えられるが夕方頃からふさぎこむ これでは小さな
身体がどうなってしまうかと思い 乳母も毎日泣いていた

その日 源氏の所からは惟光が差し向けられた
伺いたいのですが宮中からお召しがあるので失礼します 気の毒そうに
見えた女王様の事が心配でたまりません というのが源氏の挨拶で
惟光が代わりに宿直するのである
「困った事です 将来誰かと結婚しなければならない女王様なのに
もう源氏の君が奥様にしてしまった様な事をする 宮様が聞けば私達の
責任として お叱りになるでしょう」「女王様気をつけて 源氏の君の
事は 宮様が来た時にうっかり言ってしまわない様に」と少納言は言う
しかし小女王は それは何のためにしなければならないのか分からない

少納言は惟光の所に来て 身の上話しをした
「将来もしかしたらそうなる運命かもしれませんが 今はどう考えても
これは不釣合いな間柄だと私達は思っています 熱心に結婚の事を言う
ことも冗談か何かだと私達は思うだけです 今日も宮様が来て 女の子
だから気をつけて守りなさい 油断はしてはいけませんと言ったときは
私達も気が気でなくなりました 昨晩の事を思い出して」と言いながら
あまり嘆けば姫君の源氏との関係度合いを惟光が疑うと用心していた


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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