さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月07日(火) にゃん氏物語 若紫21

光にゃん氏訳 源氏物語 若紫21

惟光もどこまでの関係なのか分からなかった 帰った惟光の話を聞いて
源氏はいろいろ哀れに思う 形だけは夫らしく一泊した後で続けて通う
ものだろうがそれは遠慮していた ものずきな結婚をしたと世間の人の
噂になるだろうと気にして行けない いっそ二条院に迎えてしまうのが
いいと源氏は思った 手紙は頻繁に送った 日暮れは惟光を差し向けた

用事があって行けないのを心無いと思われるのではないか不安です
などという手紙である
「宮様から明日急に迎えると言われ取り込み中です 長年住んだ古い
邸を離れるのも もの寂しいと私達それぞれの思いは乱れています」
と言葉数少なく 大納言家の女房たちは今日は話し相手にならなかった
忙しそうに物を縫い 何か支度をする様子が分かるので惟光は帰った

源氏は左大臣家に行っていた 例の夫人はすぐに逢おうとしない 面倒
なので源氏は東琴(和琴)を即興で弾き『常陸には田をこそ作れ
仇心かぬとや君が山を越え野を越え雨夜来ませる』
常盤に田を作らせたなら浮気心を予想するだろうか 君を野山を越え
雨夜来させられる(風俗歌:普通女性が歌うのを皮肉をこめて)
と優美な声で歌っていた

惟光が来たので源氏は居間へ読んで様子を尋ねる 惟光により女王が
兵部卿の邸へ移転する前夜だと聞いた 源氏は残念だった 宮の邸に
移ってから そんな幼い人に結婚を申し込むと物好きと思われる
小さい人を一人連れていったという批難を受ける方がまだましだ
秘密が守られる方法をとって二条の院に連れてこようと現時は決心した
『夜明けにあちらに行こう 来たときの車はそのまま置き随身を一人
二人 支度させておけ』命令を受けて惟光は下がる

源氏はその後もいろいろ思い悩む 人の娘を盗んだ噂を立てられる
もう少し相手が大人で愛し合う仲なら そんな犠牲を払ってもいいが
これはそうではない 父宮に取り戻される時の申し訳なさも考えないと
いけない だけどこの機会を逃したら きっと後悔すると思い 翌朝は
まだ明けきらないうちに出かけることにした

夫人は昨夜の気持ちのままで まだ打ち解けていなかった
『二条の院にやることがあったのを思い出しましたので出かけます
用事を済ませてから また来ます』と源氏は不機嫌な妻に告げ寝室を
そっと出る 女房達も分からなかった 自分の部屋で直衣などは着た


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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