さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月08日(水) |
にゃん氏物語 若紫22 |
光にゃん氏訳 源氏物語 若紫22
惟光だけを馬に乗せて付き添いにして 源氏は大納言家へ来た 門を叩くと何も知らず奉公人が門を開けた 車を静かに中へ引き込ませ 惟光が妻戸を叩いて咳払いする 少納言が聞きつけて出てきた 「こちらに いらしてます」と言うと 「女王様は おやすみです どこの帰りで どうしてこんなに早くに」 と少納言が言う 源氏が通っている女の所からの帰りだと思っている
『宮邸に移られるそうで その前に一言 話がしたくて』と源氏は言う 「どんな話でしょう どう礼儀正しくお返事できますでしょうか」 少納言は笑って言う 源氏が室に入って行こうとするので困っていた 「見苦しく女房たちが寝ていますので」と止めようとするが 『まだ女王様は寝ていますね 私が起そう 朝霧が降るのを見せよう』 と言い寝室に入る源氏を少納言は止める事ができなかった
源氏は何も知らずによく寝ている姫君を抱き上げた 目がさめた女王は 父宮が迎えにきたのだと まだ寝ぼけて思っていた 髪をなで直され 『さあ いきましょう 宮様の使いとして来たのです』という声に驚き 姫君は恐ろしそうに見た『いやですね 私だって宮様と同じ人間だ』 と言い 源氏が姫君を抱えて出てきた 少納言と惟光と女房たちは「どうなさるのですか」と同時に言った 『ここには 常に来られないから気楽な所に移そうと言っていたのに 他に移ってしまう そうすると色々話にくくなるから連れていく事にした 誰か一人乗って下さい』源氏がこう言うので 少納言はあわてた
「今日は非常に困ります 宮様が迎えに来た時に どう答えたらいい でしょう 時間がたてば 一緒になるご縁なら自然にそうなるでしょう まだ幼稚なので 今そんな事をさせれば 皆の責任になりますから」 『ではいいです 今すぐついて来られないなら 皆は後でくればいい』 こんなふうに言って源氏は車を前に寄せた 姫君も変だと思い泣き出す 少納言は止めようがないので 昨夜に縫った姫君の着物を手に提げて 自分も適当に着替えて車に乗った
二条の院は近いので明るくなる前に着いた 西の対に車を寄せて降りた 源氏は姫君を軽そうに抱いて降ろす 「夢を見ているような感じでここまで来ましたが 私はどうすれば…」 少納言は 車を降りるのをためらっていた 『どのようにしてもよい もう女王様はこちらにいるのだから 貴方だけ 帰るならば送らせる』源氏の決心は強い 仕方がなく少納言は降りる
この急な出来事に胸がどきどきする 宮様が自分をどう責めると思うのも 心配だが 一体 姫君はどうなってしまう運命なのだろう とにかく母や 祖母に早く亡くなられる方は本当に不幸な方だと思うと涙が止まらない けれど これが姫君の婚家へ移る初日だと考えると 縁起が悪いので 泣く事はできないと 涙を堪えていた
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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