さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月09日(木) にゃん氏物語 若紫23

光にゃん氏訳 源氏物語 若紫23

ここは普段あまり使わない御殿で帳台などもなかった 源氏は惟光を
呼び 帳台や屏風などを設置させた 几帳の垂れ絹はおろすだけでよく
畳の座なども少し置き直すだけで済んだ 東の対に寝巻きなどを取りに
行かせ寝た 姫君は不安で何をされるのだろうと震えがきたが 声を
出しては泣かなかった
「少納言の乳母の所で私は寝たい」と子供らしい声で言う
『もう乳母と一緒に寝てはいけませんよ』と源氏が教えると悲しがって
泣いてそのまま寝てしまった 乳母は眠る事ができずに泣いていた

夜が明けて朝の光で見渡せば 建物や室内の装飾は言うまでもなく
素晴らしい 庭の敷き砂なども宝石玉を重ねたように美しかった
少納言は自分が見劣りして恥ずかしかった この御殿には女房はいない
たまに来るお客を迎えるだけの座敷になっていたので 男達が縁の外で
用を聞くのに控えていた その男達は新しく源氏が女を迎え入れたと
聞いて「誰でしょう よっぽどの人だ」と ひそひそ話をする
洗面の手水や朝ご飯もこちらに運ばれた 朝遅く起きた源氏は少納言に
『女房たちがいなくて不便でしょうから 何人かを夕方迎えればいい』
と言った そして小さい子だけ来るように東の対に童女を呼びにやった

しばらくしてかわいい姿の子が四人来た 姫君は着物にくるまったまま
横になっていた 源氏は無理に起して『私に意地悪はしないで下さい
いいかげんな男はこんなに丁寧に扱わない 女は素直なほうがいい』
こう教育し始めた 姫君は遠くから見ていた時よりもずっと美しかった
優しく話しかけ 面白い絵や遊び道具を東の対に取りにやって与えて
源氏は姫君の機嫌を取っていた

やっと起き出して喪服の濃い灰色の服で 着古した柔らかい服を着た
姫君の顔に笑みが浮かぶと 源氏も自然に微笑んだ
源氏が東の対へ行った後 姫君は寝室を出て木立の美しい築山や
池の方などを御簾の中から覗く 霜枯れ時の庭の植えこみが絵に描いた
ように美しい 普段見る事のない黒の正装をした四位や赤を着た五位の
役人が色とりどりに入りまじっていた 姫君は源氏の言うように
ここは本当に素晴らしい家だと思った 屏風の面白い絵などを見ながら 
毎日の頼りない心の機嫌をなおしていた


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