さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月14日(火) にゃん氏物語 末摘花03

光にゃん氏訳 源氏物語 末摘花03

源氏は思いがけなく出会って仲良くなるようなレベルの相手ではない
気の毒な方ではあるが貴女なのであるからと思う
『でも将来は交際できるように話しをしておいてくれ』と命婦に頼む
源氏は他に約束した人があるのだろうか帰ろうとする
「貴方様があまり真面目過ぎてと 陛下が困るように言っているのが
時々私はおかしくて堪らない こんな浮気のお忍び姿を陛下は御覧に
なってないですから」と命婦が言うと 源氏は引き返し笑いながら言う
『何を言ってる 真面目な人が言うように これが浮気なら 君の
恋愛生活は何と言うのだ』多情な女と決めつけて 時々面と向かって
言われるのを命婦は恥ずかしく思い 何も言えなかった

座敷の様子が聞きたいと思って源氏は静かに庭へ出た
ほとんど朽ち果ててしまって少し残る水垣の身体が隠れる位の物陰へ
源氏が寄っていく そこには以前から立っている男がいる
誰だろう 女王に恋する好色男がいたんだなと思い 暗い蔭に立った
その庭にいたのは頭中将なのであった

今日の夕方 御所を一緒に退出したのに源氏が左大臣家に寄らず
二条の院へ帰らず 途中で別れたのを頭中将は不審に思い 自分も
いく所があったのに 源氏の後をついてきたのです わざと粗末な馬で
狩衣姿の中将に源氏は気付かず 中将は予想外にこんな邸に入る源氏が
とても不審で立ち去る事ができなかった そこへ琴の音がしてきたので
それに気を取られ立ちながら 源氏が帰りに出て来るのを待っていた

源氏はまだ誰だか気が付かない 顔を見られないように抜き足で庭を
離れようとした時にその男が近づいて言った
「私を まいてきたのが悔しくて こうして見送りしているのですよ

もろともに大内山は出でつれど入る方見せぬいざよひの月
一緒に宮中を出たのに行くえをくらましてしまう十六夜の月ですね」
秘密を見たように得意げに言うのが悔しいが 源氏は相手が頭中将
だったので安心して おかしくも思った
『そんな失礼な事をするのは貴方以外いませんね』憎らしげに言い

『里分からぬかげを見れども行く月のいるさの山を誰かたづぬる
どこの里も分け隔てなく照らす月の光は見るが 月が入る山を誰が探す
こんなふうに私がいつも後をつけたら貴方は困るでしょう』と言った

「でも恋が上手く行くにはよい随身を連れて行くか行かないかで決まる
これからは ご一緒させてください 一人歩きは危険ですよ」
頭中将はこんな事を言う 頭中将に得意がられて源氏は悔しいが
あの撫子の女を自分が見つけ出したのを内心で誇らしげに思っていた


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