さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月16日(木) |
にゃん氏物語 末摘花05 |
光にゃん氏訳 源氏物語 末摘花05
『手紙を送るが はっきりしなく冷たい 一時的な浮気心と思って いるのだろう いつも相手の方が気短に離れていき 私が捨てたように 言われる 私は孤独で 親兄弟の世話でうるさがられることもない 気兼ねしない妻なら 私は十分に愛していくことができるのだ』 「いいえ 貴方様が十分に愛していく相手にはあの方はなれそうもない と思います 非常に内気でおとなしいのは めずらしいくらいです」 命婦は自分の見知っている様子を源氏に話した 『貴婦人らしい賢い才能が見られないのでしょう それでもいいのです 無邪気でおっとりしていれば私は好きなのです』
命婦に会えばいつも源氏はこんな事を言っていた その後源氏は瘧病に なったり 病気が治ると禁断の恋愛事件で物思いをして春夏が過ぎた 秋になり 夕顔の五条の家で聞いた砧の音が耳障りだったのを恋しがる 源氏は度々常陸の宮の女王に手紙を送ったが返辞のないのは秋の今も 同じであった
あまりにも普通と違う態度なので 負けたくないと意地が出て 命婦へ 積極的に催促することが多くなった 『どう思っている 私はこんな態度を取る女性は見たことが無い』 不愉快そうに源氏が言うのを聞き 命婦は気の毒に思って 「私は この縁をよくないと言ってません あまり内気過ぎる方なので 男性との交渉は手を出せないのでしょう 返事が来ないのは私は そういうことと解釈します」
『それが間違っている 年が若すぎるとか 親のいいなりで自分で何も できない人なら仕方ないが あんな一人ぼっちの人は異性の友達を作り 優しく慰められたり 自分の事を聞いてもらうのがいいことだと思う 私はめんどうな結婚なんてもうどうでもいい あの古い家へ行き荒れた 縁側へ上がり話しだけでもさせてくれ あの人が承知しなくても私を あの人に近づけて欲しい 気が早くて取り返しがつかない事は決して しないから』などと源氏は言う
女の噂に感心を持たないふうで その中のある人には特別興味を持つ 源氏にそんな癖ができたころ 源氏との宿直所で退屈しのぎに語った 常陸の宮の女王の事をいつも責任があるように言われ命婦は 迷惑だった 女王の事を考えるとこれがふさわしい事とは思えない 命婦は余計な取り次ぎで女王を不幸にしてしまうだろうとも思ったが 源氏が真面目に言っているので断る理由も無いような気もした
常陸の太守の宮が生きていた頃でも 古い時代の残りの宮様としての 扱いで 生活も豊かではなかった 訪ねて来る人もその時からも 皆無の状態であり 今はなおさら草深い邸に出入りするものはいない その家へ源氏から度々手紙が来て女房らは不運続きから運が開けると 夢見て女王に返事を書く事を勧めていたのである
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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