流れる水の中に...雨音

 

 

あのころの夏休み - 2002年07月08日(月)



夏の朝 目覚めると飛び込んで来るのは 
風を孕んで膨らむ白いカーテン越しに見える 深く蒼い空。
そう。ただ 空しか見えない。
建物も樹も電線も 阻むものもなく見える夏の空。
耳に残る蝉の声。積乱雲。プール。暑い暑い陽射し。


一体私の「夏」は何処にいったのか。
子供のころ。
この時期になると一学期中に溜め込んだ荷物を小分けにして
夏休みに向けて家に持ち帰っていた。
帰り道 暑い陽射しを受けながら 荷物の重さに辟易したけど
やがて来る夏休みに心を躍らせてた。
短縮授業で給食がなく 家で用意される昼食に 
いつもホッとしていた。
あの 妙な安心感と 心の底からしんみり滲んでくる嬉しさと
あれほどの重い荷物を背負った懐かしい頃は 何処にいったのか。


毎年夏休み前の短縮授業のころに行われてた私のお誕生日会。
仲の良い友達を家に誘って お祝いしてもらってた。
その日の学校の帰り道 急なお腹の激痛で道路に倒れ込んだ11歳になったばかりの日。

姉達が全員いなくなった14歳の夏。
毎日を一人きりで退屈に過した。
おんなじレコードを繰り返し繰り返し ターンテーブルに乗せて
流し続けた 一人きりの夏休み。


きまぐれな遊びを繰り返してた高校生の夏休み。
大学生の異性に大人を感じていた。
受験と友達と異性と遊びと。
そんなものがごちゃまぜになってた高校生の夏。


硝子戸をあけると 夏の熱気が流れ入る。
コンクリートに熱せられた 都会の夏は窒息しそうで
密閉した室内に冷房をかけつづけて麻痺してしまった感覚。
今は本当に あの夏なのか。

紫外線を避けるように 日々をおくる。
子供の頃よりも白くなった肌の代償は
あの懐かしい夏の喪失。

白い日傘をさしながら その影のしたで 遠い目をして懐かしむのは
もう戻れない あのころの夏休み。










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