流れる水の中に...雨音

 

 

彼岸花 - 2002年09月20日(金)




そうか。
彼岸花の季節か と 人の日記をみて 思いだした。
彼岸花は 私の おそらく 一番好きな花。
紅くて 妖しげで 淋しくて か弱くて。

母は不気味だと言ってた。
時期を違わずに 御彼岸になると 決まったように
紅く 紅く 咲き始める。
それがまるで 呪いのようで 不気味だと 母は言ってた。

この時期になると すっくりと茎をのばし 葉を生やすのだけれど
それが枯れ落ちてから紅い華を咲かせる。
葉は花が咲く姿を見ることなく枯れゆき
花は それに手向けられるかのように 咲き始める。
どことなく 寂しい花である。

「華」という文字は この曼珠沙華の姿から作られたと言われるように
この華やかさといい 線の細さと言い よくできているなと思う。


人の姿を よく 花に例えるけれども
この彼岸花に例えられる女性の姿も やはり 淋しい女がよく似合う。
美しくか弱く 存在感はあるけれども 
想いを遂げられずして 消えゆきそうな 
そしてどこか 災いをもたらしそうな そんな女。


彼岸花の根にはリコリンという毒物を含むというが
その昔 飢餓の時には その根を何度も何度も水に晒して
雑穀と混ぜて食べたと言われている。

水に晒せば平気だとは言え 彼岸花にまで手を伸ばす
その気持ちもちょっと切ない。



秋の気配を感じ始めるこの季節。
電車から望める風景は 河原に揺れる彼岸花。
傾き始めた陽射しの中で ほんの小さな風に 重心をゆすられ
揺れて 燃える。



 
 『あかあかとあかあかあかとまんじゅさげ』 角川春樹


あかあかと 群れになって燃える花が 目に浮かぶようである。





...




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