![]() |
仲秋の名月 - 2002年09月21日(土) 昨日の夜 なにげなしにベランダに夜風にあたりにでると とても明るい月が 街を照らしていた。 幸い 鱗状の雲も 風に流され 美しい月の姿を現していた。 ああ そういえば もうすぐ満月か と想いながら 月を眺め続けていた。 月の本当の明るさを知ることは なかなか難しい。 街に出れば イルミネーションでかき消され 住宅街では街燈や 家々の明かりで 地面は照らされる。 私の住む街は オフィス街を含む一角にあるものだから 夜になるとビルの明かりも全て消えてしまい 多分 住宅地の夜よりも 闇が深い。 凹凸のあるビルの影だけが 姿をあらわし その区切りも詳細も 闇一色の影になる。 熱を失った塊が 小さな息をしながら ひっそりと夜が明けるのを待っている。 眠っているように 命を失いかけているようにひっそりと。 満月は そんな暗闇の街を照らし 濃紺の空に 浮かんでいる。 なにもかもに 平等に 穏やかに 静かに 降り注いでいる。 月をそんなふうに 何ものかに興ぜられることなく 眺めていたい。 今年の仲秋の名月は 今夜の月。 今朝の青空から推測して 今夜はとても美しい月が現れそう。 今夜の十五夜に対して 来月の18日の月は十三夜。 後の月、名残の月とも呼ばれる。 十五夜の月だけをみて 十三夜の月を見ないのは 「片見月」といわれ 忌み嫌われることらしい。 先まくりいま二夜をば満てずしてくまなきものは長月の月 『丹後守藤原為忠家百首』 花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは 『徒然草』 まだ 満たされぬもの これから満たされつつあるものの 満たされた姿に思い馳せる その具合が美意識なのだろうけど。 張りつめた緊張感が破れるように明日からは欠けゆくけれど 今夜はそんな満月の 最後にみせる閃光のようなきらめきを 見届けてあげようか。 ...
|
![]() |
![]() |