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12月の夜の街で。 - 2002年12月08日(日) 寒い12月の賑わう街の中を急ぐ。 駆け足の所為で 高いヒールが揺らいでいるけど イルミネーションで飾られた美しいショーウィンドウに魅かれるけど ロングコートの裾をひるがえして コートの間から 肌色の足を見え隠れさせながら 急ぐの。 君が待っていてくれるから。 冷たい寒気に 鼻の先が冷たくなって 息切れする息は 白く漂って すれ違う人たちの目に残像を残しながら 急ぐの。 あの交差点の角の明るいデパートまで。 冷たくなった手を君は握りしめて温めてくれるから お買い物で重くなったペーパーバックを君が さっと 手に取り 引き受けてくれるから 揺らいだハイヒールの踵を いたわりながら ゆっくりと街を歩く。 ほんの少し 自信過剰気味の君は 私を待っている間の ちょっと色っぽい話をするから 私は「そう」と気のない振りで 君の話をかわすけれど 少し歩いて振り返り 君の言ってた女の子の姿をやっぱり探すの。 もう今年も終わりねと 少し淋しく呟いたら そうだねと君が言って 沈黙する。 年末に帰省する君は なにだか大切な話を持ち帰る素振りもみせずに またね といってひょうひょうと消えてしまったけれど 年が明けて もう君には会えないことを 君に伝えられないままだったけれど 胡桃ボタンのついた ツイードの温かそうなジャケットに マフラー巻いて 片手をズボンのポケットに差し込んで 右手で手を振ってるその姿が淋しくて 淋しくて 淋しくて。 ...
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