流れる水の中に...雨音

 

 

彼女 - 2003年05月02日(金)



いつ切れてもおかしくないような
そんな細い細いつながりを
ぷつんと切れてしまわないように
大切に大切にしている彼女は
今日もまた
自分のものでもない只の猫を
可愛がっていて
どこかに自分を結び付けようと
その糸口を探っている
本当はひとりぼっちの彼女は
ひとりぼっちであることに
大きな感情の揺り返しとか
衝動的な顛末とか
そんなことがあるのだなんて
気がつきもせず
気を向けもせず
毎日を静かに行き過ごしている
彼女がその部屋に戻ることを
必要としてくれる何かが
彼女には必要であったから
彼女は今日もまた
自分のものでもない只の猫に
餌をやってる
なにかに組み込まれてそれが
彼女を回転させてしまえば
きっと
彼女は
綺麗な月の夜をじっと
眺めたりなんかしなくなる
屋根の上に一匹で
月明かりに照らされる猫みたいに
淋しいふうをするわけでなく
だけどひとりぼっちで
毛づくろいしながら
にゃあと鳴いても
誰の耳にも
届きやしないよ
彼女は

目の前を行き過ぎる様々な
しがらみとか
つながりとか
愛情とか
そういうものを零しながら
それを掴もうともせず
流れに乗ろうともせず

今日もまた
只の猫に 餌をやってる





...




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