流れる水の中に...雨音

 

 

PHOSPHORESCENCE 〜読書日記〜 - 2003年05月09日(金)



太宰の小説に「PHOSPHORESCENCE」というものが有る。
夢と現実が錯綜したような幻想的な話なのだが
彼は小説の中で 「夢もまた私たちの一部分であり
或る意味では現実である」というようなことを述べている。

私達はみな一様に眠り そして夢を見る。
そして私たちは夢の中でも成長している。
夢の中での感情は現実へと繋がっているし
夢の中で泣いていて 目覚めたら実際に涙を流していることもある。
夢の中と 現実とが感情で結びついているのだから
それもまた現実である ということだ。
だからこそ人というのは 普段見えている部分だけをみて
理解しているようなつもりになっているけれども
それは 本当に理解しているとは言えないということだ。

ところでこの「phosphorescence」。
日本語に訳すと「燐光」ということ。
燐光を放つ現象をそういうらしい。
蛍光灯を消しても しばらくぼんやりと
仄明かりを放っているあれも燐光である。

太宰の小説の中にあらわれるphosphorescenceという花。
実在するのかどうかわからないけど
夢の中でジープに乗ってきた人に
phosphorescence の花束を渡されるというのは
なんとも示唆的だ。

青白く頼り無い燐光。
雨上がりの墓場に発生する燐が自然に発火し
それが 人魂の正体である などという一説も関連して
なあんとなく。(笑)


そのPHOSPHORESCENCEとやらを一度見てやろうかと
家で実験してみた。
マッチ箱の側面にある薬品を塗ってある部分。
あそこには赤燐が含まれている。
その部分だけを剥がして燃やし 後に残るヤニのようなものを
ラップでこそいで 暗い場所で揉んでやると
ほわっと一瞬光る燐光がみられるという。

ということで 部屋の電気を消して暗闇の中
実験開始。
燃やしてできたヤニをラップでこそいで 
さあ いざ もまん としたところ
「ボッ!」っと勢い良く炎が発火。

燐光どころでなかったことは 言うまでも ない。




*参考

太宰治「PHOSPHORESCENCE」より。






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