流れる水の中に...雨音

 

 

ピアスの穴。 - 2003年05月29日(木)



私が高校生のとき
校則のゆるい学校に通っていた友人が
耳にピアスの穴を開けたことを境にして
まるで人が変わったようになった。
話をきくと彼女は その年の夏の彼女の誕生日の日に
彼にお祝をしてもらうため 夕方 彼との待ち合わせの場所に
赴いていた。
その途中で事件がおこった。
ちんぴら風の若い男3人組につかまり
彼等のうちの一人のへやに連れ込まれて レイプされた。
16歳になったばかりの日だった。

浅はかにも彼等は 自分の部屋に連れ込んだものだから
すぐに捕まり 処分を受けた。
彼女はそのときすぐに 私にその誕生日の出来事を
泣きながら話してくれたのだけれど
その態は 失意のどん底というよりも
どこか投げやりで 諦めた感情や ひえきった塊のようなものを
抱えてしまったように見えた。
そして そのあとすぐに ピアスの穴をあけ
人がかわった。

ピアスの穴をあける痛みが 
彼女の心をどう癒したのかはわからないけれど
彼女がそのことによって なにだか痛みに鈍感に
なってしまったように思えて 痛々しかった。

最近は ただのファッションで
簡単にピアスをしたりするのだけれど
そういうひとたちとはまた別に
なにかの戒めのように また 何かの痛みをやわらげるために
沢山のピアスの穴を開けたりする人たちもいる。
手首を切る代わりに 穴をあける。

穴を開ける痛みを 
穴を塞ぐステンレスを
必要としないときがいつかくればよいのにと思う。

彼女は今 どうしているのか知らない。
余りに自暴自棄な振る舞いで
どこか遠くにいってしまったから。


今日 ピアスを外した人がいる。
なにだかの印であったわけだけれども
もう それも必要無い。

何かが 代わりにその穴を塞いだのならいいのだけど。





...




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail