流れる水の中に...雨音

 

 

ある夜。 - 2003年06月09日(月)


ある夜。
私は息を潜めて待っていた。
時の流れと 秒針と 胸の鼓動が完全に一致していた。
「そのこと」を君が終えるのを
今か いやもう少しあとなのかと
全てがその瞬間であるかのように
絶対的瞬間が まさに 連続する点で連なっていた。

君はどこまで
私の知る君であるのか 私には分からないけれど
いや もうそこには
私の知る君は居なかったのかもしれないけれど
ええ たぶん
そこには もう 私の知らない君しか
居なかったのだろうけど

私は君が 「そのこと」を終える時を
ただ 息を潜めて待つ以外に
なかった。


小さく息を吐いた。
時は容赦なく流れ去り 私を夜の闇に引きずり込む。
「そのこと」を終えた君は
いや 「そのこと」を終えなかったかもしれない君は
吐いた白い息の塊になり
もやもやと 目の前でくぐもる。

くぐもったもやもやは
冷たくなった私の瞳の温度に凍って
粉々にくだけて
小さな小さな棘になった。

私の周りに そして君の周りに
今も浮遊しているのは
そのときの
小さな小さな 時の棘。




...




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