流れる水の中に...雨音

 

 

猫。 - 2003年06月18日(水)


昔 まだ私が幼稚園にもあがっていないころ
幼馴染みの男の子と一緒に
猫に酷いことをしたことがある。

小さい子供と言うのは残酷なもので
いや 私が残酷だっただけなのかもしれないけれど
他者の痛みなど 理解できなかった。

猫に何をしたかというのは
今でもとても平常心では語れずに
動悸と恐怖と痛みと錯乱とともに
その事柄は 思い起こされる。
そしていまでも口から言葉として吐き出せないでいる。

そしてそのときに自分がしたことが
如何に残酷であったかということに気がついた時から
私の生き物に対する償いの人生が始まった。




昨日の朝
近くの寺の前の溝に子猫が5匹
まだ目も開いておらず みゅうみゅうと鳴いてた。
生まれたての子猫たちは まだ裸ん坊でねずみのようだった。
幸い雨も降ってなかったし 親猫もいるだろうからと
私は私の用事へと急いだ。

夜。
用事の帰り道。
子猫たちのことが気になり その溝の気配を伺うと
もう鳴き声も聞こえていなかった。
暗闇で 子猫の姿は確認できなかった。
近くを灰色の縞猫が行きつ戻りつしていた。
あれがきっと お母さん猫だったのだろう。
母猫の姿をみつけて胸をなで下ろし家に帰った。

今朝。
朝から冷たい雨が降ってた。

溝に産み落とされた子猫たちが心配だった。
道路に溢れた水は 道の脇の溝に流れ込む。
子猫たちはその中で体を冷やしてしまうのだろう。
母猫が子猫たちをくわえて どこかに移したかな。
母猫があたためているかな。
とても心配だった。

朝早く家をでた彼に
子猫の様子を見てきてくれるように頼んだ。
しばらくしてから電話があった。

「全部 死んでた。」

私も傘をさしながら そこに向かった。
まだ目も開かない猫たちはそこでよりそって
ぐったりしてた。
一匹は みゃあ と鳴きながら死んだのだろうか。
口が小さく開いていた。

ぶるん と私の頭の中を
虚脱感が襲った。
くらり とした。

私はくるりと向きを変えて 傘をさしながら
歩き始めた。


偽善者にはなりたく無いけど
私には 何かをしてあげることも
何もしてあげないでいることも
どちらもできないで居た。




...




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