流れる水の中に...雨音

 

 

私の手を放して。 - 2003年08月03日(日)



このあいだ 彼に
「私に少し お休みを頂戴」と言ってみた。
そうしたら 彼は 目を丸くして怒りはじめた。
少しのあいだだけ 独りきりになりたかっただけなのに
彼にはその気持ちが理解できないようだった。


朝に家を出たきり 彼は深夜にしか戻らない。
ほとんどの時間を 私はひとりで過ごす訳だから
彼の言い分もわからないではないけれど
そういう鋳型からも 解放されたくなる。


「ここにいると 息がつまりそうになるの」といった。
すると 彼は傷付いていたみたいだった。


私はあまり賢くはないから
物事をひとつひとつ反芻しながら 脳細胞に刻み込んでゆく。
独り静かに考えながら 自分の感性へと転換してゆく。
そしてそれは 食べ物を食べた時の消化作業のように
砕き溶かして酵素と混ざり 分解されてはじめて
自分のものとなる。
いわば 今の私には「酵素」を分泌させるだけの
感受性も感動も 見失いつつある。

なにだか 中途半端に投げ出されたままの事柄が
あたかも当然のように 見過ごされてゆき
私は後ろを振り返ると
未完成の凸凹した石だらけの道が続いていて
どこまで後戻りして
これらを綺麗に舗装せねばならないのかと
ため息をつく。


私は君の手を振払うことができずに
君に引きずられるままに 前に進む。
それはきっと私の為になるのだろうと判っている。

だけどほんの暫くだけ 私の手を放して欲しい。
そこに膝を抱えて座り込んで
その光景を目に焼きつけて
私のできたこと しなかったこと そして
私のすべきことを もう一度確認させて欲しい。

頭の中の地図にしっかり記して
いつかかならず
完成させるのだから。





...




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