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『死神の精度』 伊坂幸太郎 (文藝春秋) - 2005年07月10日(日) 伊坂 幸太郎 / 文藝春秋(2005/06/28) Amazonランキング:69位 Amazonおすすめ度: ![]() ![]() ![]() ![]() 11ヶ月振りの伊坂幸太郎、待望の新作。 まず、そのスタイリッシュな装丁に度肝を抜かれた読者も多いことだろう。 本作の内容からして梅雨の時期に発売されたことも憎らしい演出である。 ちょうど雨の降った日にじっくり読まれたあなたは死神になった気分を満喫できるのであるから・・・ 直前に『オーデュポンの祈り』を読んだので、“荻島”に欠けていた音楽(ミュージック)をこよなく愛する主人公の登場にはやられました。 「旅路を死神」では重力ピエロでおなじみの場所も登場する。 このあたりサービス精神満点である。 少し前述したが、主人公は人間ではなく死神。 各編において対象となる人間を調査して死に適するかどうか判断し、「可」か「見送り」かを報告するのが彼の仕事だ。 クールで人間社会の常識が欠けている所が滑稽で魅力的である。 他の特徴として・・・ ★彼が現れると必ず雨が降る。 ★異常な音楽好きである。 ★素手で人に触れると触れられた人は倒れ、寿命は一年縮まる。 ★名前は千葉と決まっている。 ★シチュエーション(仕事の内容)によって年齢や外見は変わる。 本作の構成は全6編からなる連作短編集である。 内容的には本当にバラエティーに富んだ伊坂ワールド全開。 恋愛小説、密室物、ロードノベル、ハードボイルド、そして最後にハートウォーミングストーリー。 とりわけ最後の「死神対老女」が秀逸である。 詳しくはネタばれとなるので書かないが、前(表題作と「恋愛で死神」)に出ていた登場人物がリンク。 クスッと笑える話ばかりでなく、胸が一杯となる話を用意。 そしてまたまた掟破りな行為も出てくるのである。 それは読んでのお楽しみ。 いずれにしろ、その掟破りのおかげで読者の心にも晴れ間がもたらされたような気分になるのは心憎いところである。 生きているといいことがあると読者を悟らせる伊坂氏に拍手を送りたい[:拍手:] 連作短編集としての技巧面において、各編を巧みにフェードアウトしており最終編での収束は見事のひと言につきよう。 『チルドレン』と本作において、連作短編集としてほぼ完成されたと言っても過言ではないと言えそうだ。 しかしながら、まだまだ発展途上であると思いもっと大作を期待しているのは私だけであろうか? だから、そつがないけど小さくまとまりすぎているという手厳しい読者の方もいらっしゃるかなと思う。 そのあたりなんとも微妙なところであるが・・・ ファンの求めてるハードルはまだまだ高いのだろうか? その答えはまだまだ先に取っておきたい気がする。 評価8点 この作品は私が主催している第4回新刊グランプリ!にエントリーしております。 本作を読まれた方、是非お気軽にご投票いただけたら嬉しく思います。(投票期間2006年2月28日迄) 2005年52冊目 ...
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