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『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 (新潮文庫) - 2005年07月19日(火) 伊坂 幸太郎 / 新潮社(2005/04) Amazonランキング:1,579位 Amazonおすすめ度: ![]() ![]() ![]() ![]() 伊坂氏の2冊目に刊行された作品。 あとに発売される『陽気なギャングが地球を回す』とともにとってもスピード感溢れたミステリーの秀作だと言えそうである。 小説の舞台はおなじみの仙台。 この物語には四人の人生にくたびれたわけあり主人公達が登場する。 ★泥棒の黒澤 ★精神科医でプロサッカー選手と不倫中の京子 ★リストラされて再就職面接40連敗中の豊田 ★画家志望の河原崎 あと冒頭で出てくる画家の志奈子と画商の戸田がポイントである。 その他無職の豊田をサポートする野良犬もすごく印象的だ。 詳細は読んでのお楽しみ(というかここで語れるほど簡単なものでもない)であるが、やはり時間軸を本当に見事に使っている。 多少、頭の中が混同したのも事実であるが文句なしに楽しい。 まるで読者にとって伊坂マジックは作中で繰り広げられる騙し絵のような存在となっているのかもしれない。 いや神様と言った方が適切かな。 伊坂さんの作品はようやく本作で全作品を読み終えた。 “現代の世相”を巧く反映させた物語を書く作家であると言えよう。 軽妙洒脱かつクールに、時にはシリアスな面も覗かせながら・・・ 本作の伊坂全作品の中での位置づけを考えてみたい。 感動的なという点では『アヒルと鴨のコインロッカー』に軍配を上げたいと思うが、ただ単にエンターテイメント性においては伊坂氏の作品の中では一番の出来であると確信している。 本作においても氏の他作で登場する人物や事件がリンクする。 伊坂氏のサービス精神満点の読者への配慮であろう。 そこで早速、今後の楽しみを見つけたのである。 それぞれゲスト的な登場であるが、伊坂作品をコンプリートした今、もう一度すべての作品を読み返して自分自身の頭の中のパズルを完成させたい。 まるで本作で何の接点もない四人の主人公が見事に収束したように・・・ 人生はRush(混雑した)なのは否定しないが、本作を読んでせめて心の中はLush(豊か)でありたいものだ。 この物語を読み終えた今、一番悲壮感が漂っていた豊田から主人公は読者であるあなたでありわたしにバトンが無事引き継がれた。 「イッツ・オールライト!」と楽観的に歩いて行きたく思う。 その言葉に伊坂氏の人生観が集約されているはずであるから・・・ 評価8点 2005年53冊目 ...
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