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『震度0』 横山秀夫 (朝日新聞社) - 2005年08月07日(日) 横山 秀夫 / 朝日新聞社(2005/07/15) Amazonランキング:3,621位 Amazonおすすめ度: ![]() ![]() ![]() ![]() 日本の警察ってここまで腐敗しているのだろうか? あまりにも正義感が欠如しているのではなかろうか・・・ 警察小説というジャンルに市民権を勝ち取った功績の大きい横山氏であるが、本作はいささか期待はずれだった感は否めない。 警察小説の頂点を極めた『第三の時効』の職場内での凌ぎ合いには男のロマンを感じたのであるが、本作の6人の部長には己の保身が強く滲み過ぎてて共感を得ることが出来なかった。 6人(県警本部長以下、キャリア組エリート警務部長、準キャリア警備部長、叩き上げの刑事部長・生活安全部長・交通部長)とも身勝手な人間に写ってしまうのである。 多少なりとも私達民間人にとって本作にも登場するキャリアとノンキャリアとの違いなどわかる点はあるのであるが、それは『踊る大捜査線』などで描かれているようなコミカルな感じの方がいいのである。 警察も大変だなと思う以上にその確執の多さ(というか揚げ足取りのオンパレードと言った方がいいのかもしれない)に辟易してしまうのである。 章ごとに視点が変わり、スピード感溢れた展開であるのだが、いかんせん緊迫感が伝わってこない。 やはり類型的に描きすぎているのが一番の要因であろうか。 とりわけ警務部長夫人と生活安全部長・交通部長の3人が漫画チックでリアルじゃないのである。 阪神大震災との関連性についても不満点が残る。 震災地から約700キロ離れたN県でさえ警備部に緊張感が走った点はわかるのであるが、物語との関連性は薄くタイトル名を想起させるためだけに用いたように見受けれる点は残念である。 逆に裏の主人公であるとも言える失踪した課長サイドから彼らの人生を読み取れたらドラマを感じ取れるのかもしれないなとも思う。 ラスト付近のミステリーの解明度は『半落ち』よりも勝ってるとも言えよう。 本作は皮肉な意見であるが、2時間ドラマで見るほうが面白いのかもしれない。 いずれにしても、横山氏の力量からしてもっと面白い作品が書けるというのがひとつの結論である。 次作以降大いに1ファンとして期待したい。 評価6点 2005年56冊目 この作品は私が主催している第4回新刊グランプリ!にエントリーしております。 本作を読まれた方、是非お気軽にご投票いただけたら嬉しく思います。(投票期間2006年2月28日迄) ...
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