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『ワーキングガール・ウォーズ』 柴田よしき (新潮社) - 2005年11月02日(水) 柴田 よしき / 新潮社(2004/10/21) Amazonランキング:93,215位 Amazonおすすめ度: ![]() ![]() ![]() ![]() <女心を描写させたら当代屈指の作家の真骨頂> 久々に柴田さんの著作を手に取ってみたが、やはり相変わらずその引き出しの多さに驚いた次第である。 本作は軽く書かれているがかなり奥の深い一冊だと言えそうだ。 男女問わず、誰しも現状の自分に満足していない人が大半だと思う。 そんな方には是非手に取ってみて欲しい一冊である。 なんといっても主人公のお局社員、37歳のキャリアウーマン墨田翔子が素敵である。 世間一般的には一流企業で働き都内にマンション所有、羨ましい限りである。 その世間一般的な気持ちをネットで知り合って友達となる嵯峨野愛美が代弁している。 どちらかと言えば愛美の方が読者の視点に近いのかもしれないな。 交互に語り手が変わり、それぞれの視線での悩みがテンポ良く軽妙に語られ心地よい。 柴田さんは主人公達を皮肉ってるわけではない。 逆にお若い方が読まれたら“理想の上司”(翔子に対して)として掲げて欲しいなという希望を込めて書かれていると思う。 働く女性達にとっての応援歌いや“道しるべ”となっている。 それは他の女性作家が得意とする恋愛面だけではない。 柴田さんが描くとくっきりとその人の“人生が描かれている”から驚愕物だ。 あと、細部にわたり女性が働くにあたって良い教訓(戒め)となるようなことも散りばめられています。 多少なりとも、描かれている男性陣がだらしないというか滑稽であるのはいたしかたないか。 少なくとも本作を読んだ大半の女性は心地よく主人公翔子の気持ちを受け止めたことであろう。 本作を読み終えて主婦であれ、OLであれ、学生であれ、もっと言えば男性であれ・・・ ラストの啖呵を聞かれた方のほとんどが『明日から頑張るぞー』と思われたはずだ。 個人的には「フェザーB」(翔子)と「A美」(愛美)とのあいだに友情が芽生えて行く過程が印象的であった。 ネットを通じて交流が深まるのは、読書を通じて心が豊かになるのと同じように嬉しい限りである。 結論を言えば私自身、翔子がいわゆる“負け犬”だとはこれっぽちも思っていない。 もし翔子が男性だったら俗に言う“勝ち組”と称されるであろうはずだから・・・ 是非あなたの意見も聞かせて欲しいなと思うのである。 評価8点 2005年67冊目 ...
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