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『ララピポ』 奥田英朗 (幻冬舎) - 2005年11月03日(木)


奥田 英朗 / 幻冬舎(2005/09)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:
帯がなければ星5つなのに・・・
日本の実像
面白かった!



<こういう作品が書けるのも直木賞を受賞した余裕であろうか・・・>

現代作家の中でその大衆性と読みやすさにおいて最高レベルに到達したと言っても過言ではない奥田氏であるが、伊良部シリーズ以上にお笑い系でお下劣な作品を上梓されるとは予想だにしなかった次第である。

かつて重松清が『愛妻日記』を上梓した時には本当に度肝を抜かれたのであるが、本作はそこまでは行かないがこんな作品を書く必要があるのであろうかと思わず叫びたくなるような作品である。

ただ、重松清よりも大衆性においては一歩も二歩も上を行く奥田氏が書けば作品としてはずっと面白く読めるから読者も微妙なところである。

たとえば初めて奥田氏の作品を手に取る方がいたとしよう。
本作はやはり薦めにくいのではなかろうかなと思ったりするのである。
個人的には伊良部シリーズの優れたキャラと滑稽さが限度一杯なのである。

もちろん、各篇に登場するそれぞれの登場人物が個性的であるのは認める。
奥田氏の各篇巧みにリンクした書きっぷりも見事である。
でも登場人物ひとりひとりに悲壮感が漂いすぎているのではなかろうか・・・
いや、悲壮感を通り越してむなしく感じるかもしれないな。

結論を言えば、男性読者の私としたらまずまず面白かったのですが、伊良部シリーズみたいに単純に笑え癒される話ではないのが引っかかる。
孤独さが漂い過ぎていて他人に自信を持って薦めにくいと言うのも事実じゃないかなと思ったりするのである。
女性へのプレゼントは厳禁したいですね(笑)

少し辛口になりましたが、逆にもし新人作家が本作を書いていたら傑作だと言わしめさせていただけたかも。
それだけ奥田氏に対する期待が大きいと言うことなのだと思います。

評価5点

2005年68冊目


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