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『フォー・ユア・プレジャー』 柴田よしき (講談社文庫) - 2006年01月21日(土)


柴田 よしき / 講談社(2003/08)
Amazonランキング:34,264位
Amazonおすすめ度:
楽しめる!
心温まり、心洗われる作品
物語をより面白くさせているシリーズ第2作!



<第2弾は24時間タイムリミット! ハナちゃんの命が危ない!>

今回は前作(『フォー・ディア・ライフ』)よりもっとハナちゃんが忙しい。
少し余談となるが前作の書評がbk1の“今週のオススメ書評”に掲載されました。ありがとうございます。

我等の等身大ヒーローのハナちゃん、あいかわらずのモテモテぶりである。
元妻の麦子も登場、もっと元旦那を馬鹿にしているのかと思えばそうでもない。
これはちょっと意外だったのだが、ハナちゃんのポイントアップに貢献と言えそうだ。

前作と比べるとミステリーとしての出来栄え、中盤以降さらに加速するノンストップアクション的な展開などを考慮すればより面白かったかな。
テーマ的には前作の方がインパクトが強く書けてたのかもしれないが、読みなれてしまった点もあるのでしょう。

惜しむらくは、やはり最後に集中して作者の都合のいいように物語が収束し過ぎなきらいがあると感じられる方がいるかもしれないな。
読み手によれば許容範囲を超えているかもしれないが、ハナちゃんの人柄に免じて許してあげてください(笑)

他の作品群と同様柴田さんはやはり女性読者を意識して本作も書かれている。
そう、母性本能をくすぐるキャラ・・・花咲慎一郎。

印象に残ったシーンは恋人・理沙(今回は誘拐されます)と奈美先生の対面シーン。
惜しむらくはもっと嫉妬してほしかったなと思ったり(笑)

あと、ドキドキしたのはやはりハナちゃんと山内との会話シーン。
債務者(ハナ)と債権者(山内)との関係以上に命を委ねている関係に発展。
イマジネーションを膨らませて読まれた読者も多いことであろう。

読まれた方の大半が同感されると思うのであるが、作者はハナちゃんを“優しい男”の象徴として取り上げている。
今の時代、誰にも憎まれなく生きているって貴重なことなのでしょうね。
私たち本好きが時間を割いて読書を楽しむことによって心が安らぐように、ハナちゃんにとっては忙しい合間ににこにこ園の子ども達の寝顔を見ることによって心が安らぐのである。

よく“人徳のある人”という言葉が使われる。
周囲の人が皆、ハナちゃんのことを心配してくれている。
ハナちゃんは幸せ者である。
少しおっちょこちょいなのが玉に瑕であるが、広い目で見て“人徳のある人”だと思う。
男性読者の視点からリスペクトしたい。

ハナちゃんとは逆に、女性作家作品特有のいわゆる“情けなくてだらしなくて愚かな”男の象徴として池上と高梨が登場する。
読んでのお楽しみですが、とりわけ池上に対してはかなり辛辣に書いているような気がする。
いずれにしても女性が生きていく上に置いて“現実社会での教科書”的な作品となるエンターテイメント作品であることに異論はないであろう。

ハナちゃんは天国にまだまだ行かないで!
熱き心で第3弾を手に取ろうと意気込んでいる私。
次は個人的お気に入りの南をもっと登場させて欲しいな。
なにっ、女性読者は城島さんをもっと登場させてって(笑)

評価8点


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