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『ふたたびの虹』 柴田よしき (祥伝社文庫)<再読> - 2006年01月24日(火)


柴田 よしき / 祥伝社(2004/06)
Amazonランキング:12,845位
Amazonおすすめ度:
NHKドラマとは違う「ばんざい屋」の世界
こんなお店があったら・・・
ほのぼの推理物


<自分自身を見つめなおすのに恰好の1冊。あなたも是非“ばんざい屋”のカウンターにお座り下さい>

再読。昨年NHKにて「七色のおばんざい」というタイトルでドラマ化された。

はじめて柴田作品を読まれる方がいた場合、この作品を薦めることにしている。
なぜなら、柴田作品をコンプリートしたわけではないが、柴田さんの数多い作品群の中でもっとも“しっとり”読める作品だと思うからである。

少し冒険的かつ扇情的なきらいがある他作の登場人物に比べて、作者のイメージと本作の主人公とがだぶって感じられるのは私だけであろうか?

本作は7編の短編からなる連作短編集であるが、一編一編はそれぞれミステリーが融合された人情話が盛り込まれていて短編として楽しめる。
舞台が東京のばんざい屋という料理屋(おばんざいとは京都の庶民のおかずのこと)であるために季節の旬の料理が毎回登場、読者もまるで仕事帰りにばんざい屋のカウンターにすわってるかの如く、くつろいだ気分なれるから不思議なものである。
はじめの5編までは、おかみの隠された謎めいた過去が読者の前に興味深い形で投げかけられるのであるが、ラスト2編でその全容が露わになる。

惜しむらくは、終盤の大事な人との対面シーン。
個人的にはもう少し感動的な場面を期待していたのであるが、少しぼやかされたような気もするがはたしてどうでしょうか?


初読(3年前)の時にはミステリーと恋愛小説を巧みに融合したいるなと舌を巻いたのであるが、今回はふたり(おかみと清水)との“大人の素敵な恋”を十分堪能させていただいた。
特に清水の懐の深さ=作者の懐の深さだと認識した次第である。

人生、長く生きれば生きるほど人に隠しておきたいことってありますよね。
率直に語り合え、分かり合える本作の2人の関係って羨ましいと思われた方も多いはずだ。
お互いがお互いを“明日への心の糧”としている点、是非見習いたいと思う。

本作のおかみさんは幸せ者である。
彼女をとりまく人々の暖かさが、辛い過去を清算してくれているように感じ取れるのである。

今日もばんざい屋は繁盛しているのだろうか?
フィクションとわかりつつもふとそういう思いに馳せってしまう。
新しい出会いがあるから人生って楽しいのかもしれない。
ちょっぴりせつなくも心暖まる本作、明日からは少しリラックスして生きれそうな気がする。

評価9点 オススメ


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