土曜日生まれは腰痛持ち

2003年07月13日(日) オテサーネク 妄想の子供

本日私、35歳になりました。
本当は、35歳になるまでにやりたい(成し遂げたい)ことが
あるにはあったのですが、
自分に都合よく前向きにできている私は、
「35歳のうちにやり遂げる」に変更することで
また明日から力強く生きていこう!と思い直しました。

35歳になって最初に見た映画は
ヤン・シュヴァンクマイエルの
『オテサーネク 妄想の子供』でした。
いや〜、エグみの強い映画でした。
登場する食い物はどれもマズそうだし、グロテスクの極みだし、
狂言回し的な役どころの少女はぶーたれ顔だし(関係ない?)
少女の母親は京唄子にクリソツだし(もっと関係ない)
とにかく“恐怖”の描写が半端じゃなく怖いし…
『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の100万倍怖かったです。
それでいて、絶対嫌いになれないだろうなと
見ている途中で確信しました。
もう2度と勘弁、と言いつつも、
長女しんりも、続きが気になって
宿題を中断して見ている始末でした。
どこか、カフカの『変身』に通ずる物悲しさも覚えました。

(あらすじ)
チェコの民話「オテサーネク」に材をとった
ホラー色の強いコメディー。

子供が授からないホラーク夫妻が、
木の根を赤ん坊型に成形したものを
オティークという名の男の子に見立てて
「育てて」いるうちに、その木製の赤ん坊に命が宿り、
赤ん坊にあるまじき鯨飲馬食の果てに、
なんとホラーク夫妻の飼い猫を食べてしまいます。
その後は大暴走して、
「有機物ならなんでもえーんかい!」
とツッコミたくなるような様子で、
とにかく、命あるものをばりばりと食いまくり、巨大化していくのですが、
ホラーク夫妻は、愛する「我が子」を処分することができません。

そうした状況が昔話の『オテサーネク』にそっくりだと気づいた
ホラーク家の隣に住む少女アルジュビェトカは、
困り果てたホラーク夫妻が地下室に隠したオティークと心を通わせ、
自分の小遣いを使ってまで、
オティークに食べ物を与えようとしますが…


木の根でできた巨大でグロテスクな赤ん坊、のはずなのですが、
頼りなげでかわいらしい喃語のせいもあって、
妙にかわいいのですよ。それがまたコワい!

漫画家の高岡凡太郎さんが、
「赤ちゃんがカワイイのは、小さいからではないか」
という趣旨のことを育児マンガの中で描いていらしたのですが、
至極あたりまえのこととはいえ、
この映画ほど、それを実感できるものはほかにないでしょう。
赤ん坊という生き物は、確かに何しでかすかわかりません。
映画の中のオティークだって、
単に「腹減った」からいろいろ食ってただけだし。


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