2006年05月30日(火) |
ザ・プラン9/第16回公演「こわがり」DVD鑑賞 |
キャスト 栗田(閉所・高所恐怖症)…お〜い!久馬 山田(先端恐怖症)…ヤナギブソン 広川(極度の潔癖症)…浅越ゴエ 古川(不安症)…鈴木つかさ 野沢(医師)…なだぎ武
第1幕 3人の泥棒(栗田・山田・広川)が マンションの1室に、 時を同じくして空き巣に入るところから始まります。 3人は話していくうちに、 ターゲットは同じものらしいということがわかったとき、 突然鳴ったドアベルの音に驚いて……
第2幕〜 ある病院の同室で枕を並べる栗田・山田・広川。 なぜか、記憶をすっかり失っていました。 同室にはほかに古川という男もいます。 4人を担当するのは、野沢という切れ者の医師で、 催眠術も取り入れた治療を4人に施しますが……
全体のアドリブ的なギャグはベタだし、 決してわかりにくい話ではありませんが、 どこからどう書いてもネタバレ領域に触れそうで、 腰が引けます。
展開は、ある見ているうちに だんだんと読めてくるのですが、 それでいて、次に一体何が起こるかわからない、 何ともぞわっとした恐怖に包まれた、 そういうお話です。 ……………………………………… 気が変わりました。 5行ほどのブランクの後、 文字と背景の色を同化させて、思い切りネタバレします。 ネタバレが平気な方と、一度はごらんになった方、 よかったら読んでみてください。こんな感じです。 自分なりの解釈もあるので、誤りもあるかもしれません。 目に余るものがある!と思う方は、御一報ください。
〈以下、ネタバレ〉
3人は、同じ犯行現場で名のり合おうとして、 なぜか自分の名前を思い出すことができません。 そうこうしているうちに、 ドアベルに驚いてベランダから飛び下り、 その結果?大怪我?を負い、さらに記憶をなくして 病院に運ばれた……かに見える3人でしたが、 どうも様子が変です。
野沢はまず古川に催眠術を試します。 見事にかかった古川を見て、 ほかの3人も、野沢に自分の恐怖症治療の望みを託します。
とはいえ、たとえ恐怖症が治ったとしても、 記憶が戻らない限り、社会復帰は難しいでしょう。 いっそ何かの縁だから、 退院したら4人で暮らそうと盛り上がる男たちですが、 そうなったらぜひ遊びにきてくれと誘う4人に、 それまで親身に接してくれていた野沢は、 「これ以上犯罪者とはかかわりたくない」と言います。
4人は実は同級生で、 しかも窃盗団だったということがわかりました。 記憶を失った状態で、ただでさえ不安な4人は、 警察には言わないでほしいと野沢に頼み、 野沢もそれに応じます。 そのかわり、自分の研究を盗んだ病院長から、 書類を取り戻して〈盗んで〉ほしいと頼まれるのでした。
その決行に当たり、 またまた催眠術をかけられ操られる4人…のうちの3人。 実は古川は野沢の助手で、 野沢の治療に信憑性を持たせるために、 患者のふりをしていました。
野沢の本当の目的は、書類の盗み出しではなく、 自分の患者だったノイローゼの老婆の殺害現場を 3人に見られたため、 その口封じに、「窃盗団がベランダからおちて死亡」という 事故死に見せかけるための作戦だったのでした。 3人は老婆の孫の友人たちで、 たまたま家に遊びにきていたに過ぎず、 窃盗団だったというのは、野沢のでっち上げで、 ドアホンに驚いてベランダから飛び下りるというところまで、 野沢の催眠術にかかったための行動だったのです。
さて、第2幕〜第5幕までの病院のシーンから、 第1幕と同じマンションの一室に舞台をかえた第6幕。 つまり、この舞台の幕を時系列的に並べかえれば、 第2〜第5→第1→第6となります。
野沢の筋書きどおり、ベランダから飛び降りた3人。 そこに古川が、なぜか半分寝た状態の野沢とともにあらわれ、 古川の台詞から、野沢の犯した罪や、 すべて3人を始末するための作戦だったことが 明らかになります。 多額の報酬をもらい、あくまでドライに作戦に加担した古川 ……と思いきや、もうひと展開ありました。
野沢はそのことを全く知りませんでしたが、 古川こそが、野沢が手にかけた老婆の孫だったのです。 野沢は古川に、目撃者の始末のために 協力させていたつもりだったのが、 実は、まんまと古川に利用されていたのでした。 古川は野沢に解けない催眠術をかけ、 野沢は自分の意思とは無関係に、 自分自身に注射器の先を向けさせられたまま、 体が動かなくなりました。 〈その注射器に仕込まれていた薬剤が何だったのかは、 コメンタリーで聞いてもわからなかったので、 「御想像にお任せします」というところでしょう〉 飛び下りた3人の「友人」たちのために、 マットを敷いていました。ぬかりはありません。
読めそうで読めない。 読めたら読めたで、「そう」なったらやっぱり怖い そういうお話なわけですが、 私が最も怖かったのは、 第5幕の終盤で、 催眠術を使って窃盗技術を呼び起こそうと提案する野沢に、 全員が「ああ、なるほど。それはいい」と 快諾するところです。 設定上、古川以外の人物は本当に記憶を失っており、 事故のショックでおのおのが恐怖症になったというのが 「事実」でないと成り立たない話なわけで、 「催眠術で…」「ああ、なるほど」 って、そんなノリいいのか! なんぼなんでも、ちょっとイっちゃってやしませんかね。
野沢は、4人〈正確には3人〉の記憶を戻るのを なぜかおそれているという表現が、幾つか見られました。 伏線探しで一粒で二度以上おいしいつくりではないかと思います。
私は自称「完璧恐怖症」です。 物事がさくさくと進んだり準備万端整ったりしている状態に、 なぜか不吉さを感じること。もちろん勝手にネーミングしました。 4人のうちのどれに近いか、無理やり分類すれば、 鈴木つかさ演じる古川の「不安症」かもしれません。 でも、何かというと「死ぬ」だの 「和尚〈ってどこの和尚だ〉に怒られる」と ダウンな状態になってしまう鈴木氏は、 どこかチャーミングでした。 後々の展開を考えると、あのめりはりある演技は 表彰状ものです。
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