2008年03月04日(火) |
夢の話はそんなに迷惑なのか |
かつて中島らもさんが、そのエッセーの中で、 およそ退屈なものの一つとして、 「他人が見た夢の話を聞かされること」を挙げていました。
らもさん大好きだけど、 これは全面的には同意しかねます。
まあ、要領を得ない、大抵オチもない、 そういう話をダラダラと聞かされるのは 確かに苦痛でしょうが、 矛盾すること言っちゃえば、他人の夢の話って、 自分が聞かされるんでない限り、 物すごくおもしろく、エキサイティングだと思うのです。 〔結局、本当に聞かされるのはやっぱり嫌だ〕 「とほほ」と思いながら聞かされる人の状況を想像すると、 なお笑えます。
平生特に想像力が豊かというわけでもない、 別に妄想癖もない人が、 夢の中では、不条理劇の作り手になれるのです。 ユングやフロイトはわからないし、 夢診断にはあんまり興味がありません。 何でそういう夢を見たのか、探っても全くわからん、 そんな状態のまま、モヤモヤと目覚めるってことで いいじゃないっすか。それこそ神秘的です。
「私は午前0時、市内某所を歩いていました。 すると、赤ポストに箱状の建物が、 そこが郵便局であることを示す場所に出ました。 その隣には、小さな駄菓子屋さんがあります。
電気がついていたので、覗いたら、 前に初老の女性1人、きっぱりお年寄り1人、 勾玉のような形の黄色がかったオレンジ色のものを ずらっと作業台に並べ、 何か黄色っぽいものを粉篩で振りかけています。 チーズがけカールを手作業で作っている現場を目撃したのでした。
奥から出てきたそのお店の主人によると、 翌日の納品に間に合わないので、 徹夜で作業をしているのだそうです。 80は下らなそうなお婆さんまで、 必死でチーズパウダーをふるっていました。
店の主人は、はねものらしいカールを 私の口に入れてくれましたが、 油っこくて、食べられたものではありませんでした。 ……げっとなったところで目が覚めました」
チーズがけカールは、 絶対あんなマニファクチュアで作るもんではなかろうと、 起きた瞬間に悟りました。 また、駄菓子屋の近くの郵便局には覚えがあるけれど、 肝心の駄菓子屋の方は、全く知らないお店でした。
↑ここから自分の深層心理を読み取ってもらったとして、 何の利があるとも思えません。 「変な夢」の一言で十分です。 ちなみに今日1日、 カールが食べたいとは一度も思いませんでした。
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