2008年11月13日(木) |
ちょっとだけ「言葉の専門家」ぶってみる日記 |
麻生首相の漢字誤読連発現象が そこそこ話題になっていますね。
今のところ、 「踏襲 ×ふしゅう ○とうしゅう」 「未曾有 ×みぞうゆう ○みぞう」 「頻繁 ×はんざつ ○ひんぱん」 あたりがクローズアップされていますが、 首相になったから取り上げられるだけで、 過去にもいろいろお茶目なことをおっしゃっていただろうと 想像に難くありません。
もっとも、原稿を用意した上での読み間違いという意味では、 「ひんぱん」と「はんざつ」は、 読み間違いというよりも見間違いかもしれません。 んなこといっても、なーんのフォローにもなりはしませんが。 それに、前後のつながりなどでちょっと考えれば まだ想像がついて解決する程度の間違いなので、 迷惑度の点でもそう高くないと思うのです。
そこいくと、地方議会はすごいっすよ。 読み間違い云々というよりも、 そもそもそんな言葉はあるのか??と思うようなものに たびたび出くわします。 それも訛りがひどい地方の方だと、 まず何を言っているのか聞き取れずというのも日常茶飯。 定例会最終日に、各種委員会の委員長が報告を読み上げますが、 その報告書は、職員や委託業者が作成することもあり、 職員は、読み誤りやすい箇所にルビを振ることもあります。 (「“も”あります」の濫発が耳障りかもしれませんが、 実態は……いやいや、ここでは言いますまい) でもって、ルビ振らなかったような 想像もできない箇所を読み誤るのが 議員さんたちの性癖のようです。
よくある間違いで真っ先に頭に浮かぶのは 「進捗 ×しんしょう(稀に「しんぽ」) ○しんちょく」 あたりですが、 前々から不思議で仕方ないのが「時期尚早」です。 これはもちろん「じきしょうそう」が正しいのですが、 間違っているのか、無意識なのか、 なぜか「じきそうしょう」と読む方が、 アナウンサーでも時々いらっしゃいます。 んじゃ漢字書けやと言われれば、 意外と正しく書く方が多い気がします。
なぜそう思うかといえば、以前いた職場のワープロに、 「じき“そうしょう”」が単語登録されていたのですが、 表記は正しく「時期尚早」となっていました。 辞書を引いたなら、「そうしょう」は誤りだとわかりそうなものだし、 とにかく何か見て字面はばっちりつかんでいた証拠でしょう。 「このワープロ、こんな言葉もでやしねえ」と ぶつぶつ言いながら登録したと思われます。
ついこの間、「該当(がいとう)」を 「かくとう」と誤読している例に出くわしましたが、 正直、わかるようなわからんような間違いです。 誤読の多くは、旁(つくり)の読み誤り(思い込み)で 起こりますが、 そもそもこの漢字にそんな読み方ねーよと言いたくなる誤読にも、 ある種の規則性があるのは不思議です。 と、ここまで書いてきて、ローゼン麻生首相の誤読には、 「そんな読み方ねーよ」のツッコミが利かないことに気づきました。 「ふしゅう」にしても、音訓が無理にごちゃごちゃだけど、 まあ、「ふ・む」の「ふ」だし、 「ひんぱん」も「はんざつ」も、言葉としてある上に 用字が一つとはいえかぶっているし、 漢字が苦手というより、漢字がもう一息ということなのでしょう。
ところで、麻生首相が評価したことで話題になった 「ローゼンメイデン」…はよく知らないので、 私は何も言えませんが、 あの作品の作者PEACH-PITさん(たち)は、 これまた大人気の「しゅごキャラ!」でもおなじみです。 もしも首相が好きなのが「しゅごキャラ!」のほうだったら、 全国の女子小中学生(「なかよし」愛読)の親御さんは、 夕餉にテレビでニュースなど見つつ、 「この人、「しゅごキャラ!」が好きなんだって」 と小ネタを振り、 「えーっ、オジサンなのに〜」と 娘たちのテンションを上げたり下げたりすることでしょう。
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