天高く澄み切った秋晴れの某日、午前中は供回り視察に奔走した。
業者の展示会を見学し、自社の設営にあれこれ提案(イチャモン)を加え お追従がてら名刺をばら撒き、お辞儀し倒した挙句、解散に及んで エラーイ上司に社用車を譲るとあって、東京湾に浮かぶ島に置き去られる。 「タクシーで戻るといいよ」足腰の萎えかかった老人(つまりその上司)は言ったが そこは広大な埋め立て地、縦横に走る幅広の道路の両側に連立するのは 倉庫や工場ばかり。走り過ぎて行くのも営業車や大型トラックが殆どで 一日佇んでいたところで、流しのタクシーなんぞ絶っっ対に通りゃしない。
日盛りの中、橋下の海面やアスファルトが照り返す日光に目潰しを喰らいつつ 地図を頼りにハイヒールでとぼとぼ歩く。何かやり場のない怒りに燃えて。 太陽は中空にあって、浴び放題の紫外線を避けられそうな陰は全くない。 かもめが海風に乗り1羽、また1羽と、これ見よがしに頭上を滑空して行く。 およそ40分後、ほうほうの態でモノレールの駅に辿り着いた時にはもう、軽い 熱射病状態。両頬がかっかと火照り、日陰が濃緑色に見え光の残像が踊っていた。 なんで今回に限って、社用車が1台しか残っていなかったんだろう(`ε´)
退社後、くたびれて不機嫌なアタシを、同僚が車で送ってくれた。 『どうでした、展示会は』と、ここでこう訊かれてアタシは、私情を交えず平然と 冷静かつ客観的な業務上の話なんか出来るほど大人ではないのである。 そうしていきり立って捲くし立てるうち、目に見えて活力を回復していた。 『元気になりましたねぇ〜( ̄ー ̄)ニヤリ』 Σ( ̄ロ ̄;)あっ…
辺鄙なところまで送らせた謝礼のつもりで、地元のレストランに誘い 食事を奢ることにしたのだが、先に相手が、トイレに立つふりをして 勘定を済ませてしまっていた。車中で渡そうとしても決して受け取らない。 『そんな水臭いことやめましょう、オバチャン同士のお茶じゃあるまいし』 「いえあの、そうじゃなくて、今日は送ってもら…」 『このくらい男が払うもんですよ。今夜はゆっくり休んで下さい』 「………(-_-;)はい、ありがとう」 オバチャンとしては複雑な思いだった。
腹癒せに、会社のおカネでたらふく食べてやろうと思ったのに!(`◇´)
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