『メイ子さーん!ちょっと』「はーい。何かご用でしょうか〜(。・。・。)ノ」
社長に呼ばれて行ってみると、パーティーの招待状をポイと手渡された。 『悪いんだけどさ、僕それ急に行けなくなっちゃったから行ってきて』 「はぁぁ?(-o-;) ア、アタシがですか?」『うん』「えーっσ(-o-;)」 『社長が来れなくなってすみませんって謝っといてくれる? で、お茶の水先生と水道橋先生(いずれも仮名)にはよーく挨拶してきてね。 T国ホテルだから歩いても行けるけど、遅刻しちゃダメだよ。6時だよ』
「えーっσ(-o-;)」のところでアタシは既に、思案を巡らし始めていた。 参ったなぁ…いきなりぱーちーなんて言われても、一体何着て行こうか。 あのスーツは…あれじゃもう暑いだろう。もう1着は小さくなっちゃったし(泣) あのワンピースは普段着っぽ過ぎる。あのパンツスーツは…あれも7号だ(もう無理) あ、あの白のなら… そうだ先日食べこぼしてクリーニングに出してたんだ(-。-;) という訳で、仕方なく会社帰りに服を買って帰ることにした。予想外の出費である。 「着て行くドレスがない」と泣いていたら見知らぬお婆さんが現れて、服やら靴やら 果ては御者付きの馬車まで出してくれたという、あの子が全く羨ましい。 アタシ、日頃の行いはいいんだけど、知り合いには吝嗇家しかいないから…。
行きつけのブティックに、閉店間際に駆け込んでスーツを物色していると いつもアタシをカモと見なして寄ってくる店長が、今日もいそいそと近付いてきた。 毎回試着もしないでゴッソリ買って行くから、手のかからない上客なのだろう。 『あら〜今日も遅いのね。あ、これね、今日入ってきたばっかりのやつ。 この襟がいいでしょ。2着あったのに、1着はさっき売れちゃったのよ』嘘つけ。 『あ、そのスーツなら、このスカートも合うわよ。インナーはこのストライプの なんか組み合わせるとほら、ぐっとしまるでしょ』黙っているとどんどん持ってくる。 「その柄、今穿いてるのとそっくりだし、似たようなの2枚あってもしょうがない」 『まあそう?じゃあこれは?こういうの嫌い?』「台形のは子供っぽくてやだなぁ」 『あら相変わらずハッキリ言うのねぇ。だからこちらも助かるわ』イヤミかそれは…。
正直言って大して気に入るのがなかったのだが、今ここで何か調達せねば明日に 間に合わないので、背に腹でサテンのスーツを1着買った。予算オーバー(-_-;) 『あなた、いつも決めるの早いのねぇ。私なんかそんなパッパと選べないわ』 「本当はもっとゆっくり見たいんだけど、この時間でしょ。品定めの暇ないから」 『もうちょっと早く来られるとねぇ』「出来ればそうしたいんですけどね(~_~;)」
しかし…明日はこのタイトなスーツを着込み、まず自転車こがなきゃならないとは。 馬車とは言わないから、せめてホテルまでタクシー乗っちゃダメかなぁ(貧乏ベンチャー)。
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