みちる草紙

2004年11月03日(水) 文化の日に

イラクで人質となった日本人青年の、殺害の有様を記録した衝撃的なVTRが
インターネットを通じ、世界中に配信されたという。
ほんの100年ほど前までは、どの国においても公開処刑は日常的な出来事で
それがむごたらしくあればあるほど、退屈な日常を営む庶民にとり
無類の娯楽であった訳だが、人権意識が高まって、そのような見世物を
合法的に目にする機会が失われた現代でさえ、人々はグロテスクな刺激を求め
生きた人間の斬首見たさにサイトに殺到する。それが国籍を同じくする人間であろうとも。
残虐な見世物に興奮する人間の性とは、太古の昔から変わっていないようだ。

一方で、アメリカ大統領選挙の開票結果の行方に、世界中が目を凝らしている。
冷徹かつ陰鬱な顔つきのケリー候補が追い上げを見せたが、結局はブッシュ優勢のようだ。
日本の立場としては『ブッシュでなければ困る』のだそうである。
当面は、アメリカとなれあい歩調で渡って行く外ないのが、我が国の現状である。
確かに、ケリー氏の掲げる保護貿易政策だけとってみても、彼が当選すれば
日本が徐々にないがしろにされてゆき、景気に響くのは明らかだが。
そうなった場合、つないでいた手を突然振り切られたとして、我々はどう出るのであろうか。
同胞をテロリストに惨殺されて、非道のテロリストより寧ろ、専ら犠牲者を叩き
またテロリスト同様人質をダシに自衛隊派遣を云々する、日本人のアイデンティティとは。

国際協調という枷に雁字搦めとなり、危ういバランスを辛うじて保つ我が国が
世界の中で自立するには、民族規模での成熟を待たなければならない、と思った一日。


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