みちる草紙

2004年11月17日(水) 初冬

朝、顔を洗っていて気がついた。浸した手が痺れるほど水道水が冷たい。
冷水でキンキンに冷えた顔を拭いながら、遂にこの季節がやってきた、と思う。
もう温水でなければ洗顔も出来なくなり、軟弱者は米すらぬるま湯で研ぐ、あの冬が。
洗濯物を干しても、大気の熱で瞬く間にパリパリに乾いたあの夏の日は、もう遠い。
夏は嫌いだが、洗濯物の乾きの速さと日の長さは、あの季節の数少ない長所だ。

17時にセットしていた目覚ましが鳴り、午睡から醒める。
外は日が没した直後で、陽光の残りが僅かに西空を照らすのみ、部屋の中は既にまっくら。
夜行性の紋次郎はケージの中で静かに蹲り、あかりを灯してもまだ寝惚けている様子。
米を洗おうと流しに立ち、再び冷たい水に跳び上がって完全に目を覚ます。

ついこの間、最後の台風が上陸し、陸地を洗い浚い薙倒して行ったばかりのように思えるが
これからは、急加速に極寒の日々へ突入である。巷でははやクリスマス商戦が喧しい。
その前に、秋はどこへ置いてきてしまったのだろう。


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