子供の頃、“因幡の白兎”のおはなしレコードが家にあった。語りは中村メイコ。 ワニザメを騙して毛皮を剥かれた白うさぎが、大国主命に救われる話である。
大国さまの言うとおり きれいな水に身を洗い 蒲の穂綿にくるまれば うさぎは元の白うさぎ
うららかな小春日和の今日も、紋次郎を田端のうさぎ病院に連れて行くことになった。 理由は、ハゲ …(-_-;) 一昨日、右肩辺りに突然出現した直径4cmほどのそれを発見した時は ビックリしたが、露出した皮膚はうすい桃色で、まだすべすべしていた。 ところが昨日になって見ると、もんが気にしてしきりに舐めたり掻きむしったりしたせいか 血が滲み、瘡蓋ができていて、赤剥けの肌が見るからに痛々しい。
…何だろう?疥癬かな? ケージ内は神経質なくらい清潔に保っているつもりなのに。 患部を真水で洗い、蒲の穂綿をしいて寝転がらせておいてはダメだろうか。
やれやれ、こないだはどうにか事なきを得て、安心したと思ったら… 内心ウンザリしながら、それでもかわいいもんの健康には代えられないので キャリーバッグに詰め込み、またしても1時間余かけてはるばる北区の病院へ。 今回体調はさほど悪くないものだから、人の気も知らず道中暴れたおしていたハゲうさぎ。
『この位置からして、注射の痕が気になって引っかいちゃったんでしょうね』 「やっぱりそうですか。万一ダニだったら嫌だなと思って連れてきたんですが…」 『注射の痕はよく揉んだんですが、ちょっと刺激が強いので、多分そのせいだと思います。 一応、ダニの検査もしてみましょうね』 医師は、セロハンテープでもんの身体のあちこちから毛を取った。
『ダニはいませんでした』 ああ良かった!(^_^;) 『それで、塗りぐすりを出そうかと思ったんですが…』 「あ、それはすぐに舐めちゃうので、効き目がないと思います」 『ですよね。エリザベスカラーをつけてもいいんですが、紋次郎ちゃんにとってかなり ストレスでしょうから、上半身だけの洋服を着せてみるのもいいかも知れませんよ』 「…いや… もんは、リードもさせてくれないヤツなので…(-_-;)」 『じゃ、やっぱり飲みぐすりにしましょう。抗生物質と痒み止めを出しておきます』
待合室には他にも順番待ちの客がいたが、他のうさぎたちはおとなしくしているのに もんの入ったキャリーだけが、ソファの上で引っくり返りそうにドスンバタン揺れる。 「これ!」 もんはこの前と違い、何か怒り狂って、中でさんざんエネルギーを爆発させていた。 ハゲは自傷行為によるものか。こいつめ、結局何でもなかったみたいだなぁ。 本日の治療費、3,200円なり。
家に帰り着き、もんをケージに移すと、そのまま倒れ込むように眠ってしまった。 もんや、お母しゃんは疲れたよ。
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