6月がおわり。 7月になっていた。
長袖を二枚かさねて着て あたしはパソコンの前に 座っている、
さむい
さむい
どうしてこんなにさむいのかな。
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先週。 ともだちの研究に協力するため父の勤めている学校と交渉、 折衝と文書を交わすために二日を費やし、書類を作成する。 睡眠時間の変化、 日ごろしない事柄への奉仕、 久方ぶりに、 何かのために奔走する数日間。
けれど、 それだけで、 今のわたしの毎日(ルーティーン)はすっかり狂ってしまうらしく 持病が悪化。 上半身から顔まで一斉の発熱と発疹。 びりびり襲う痛みに耐えながら仕事は休み、自宅にてプチ療養。 通院すればよいではないか、と言われそうだけれど アトピーに特効薬はなくて、 結局、ステロイドを痛む患部に塗りつけて 黙って傷が塞がってくれるのを待つくらいが、せいぜい、なのは もう長いこと患っているせいでよくわかっている。 なにより、 外に出て行くことじたいがもうまるで ただ修行をしにいくようなもんだから。
精神科にも通えなかったのでパキシルが切れてしまう。 ふとんから出ると 不安と悪寒が襲ってくる。
眠る前に飲むお薬、のはずが、ここ一週間のあいだで いったいいつが眠る前なのかはっきりしない生活になってしまったので 飲み損ね続けている、最後の一錠が あたしに残っているさいごの 藁の一本、のようなものに、 みえる。
本当にしなければいけないことは、わかっているんだ。 お風呂に入って、髪を洗って、きちんとスキンケアをして それから病院にいくこと。お薬をもらってくること。
・・・・・・なのに、それが、できない。
考えただけで途方も無いように思えて気が遠くなり おふとんにもぐって「逃避」してしまう。 午後1時。 目覚めれば、翌日の、朝、4時。 睡眠薬も飲まずに一日に15時間ほどうつらうつらと眠る。 20時間近く眠っていることもある。それだから 今日がいつなのかよくわからず
せかいは、どんどん遠くなって ただひとつぶの砂よりもかるく 放り投げられてしまうようなものに、なって どこかにまぎれこんでしまう。
・・・・・・そのような生活をしています。この、途方もなくばかなあたしは。
さむくてあるけない。
ひとりじゃあるけない。
そんな、甘えたことを、いいながら。
主旨に反して すっかり、 病んで行くもののつぶやきと化してしまった この日記帳をながめながら おかしいと首をかしげていたり するのです。
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おととい。大学のサークルのOB会に出た。 出かけようと身支度をしはじめ、突然久方ぶりに、つよい不安発作にやられ 時間だけをいたずらに食わせた。 これは孤独でいてはいけないとだけ思い、なんとか出席は、したものの いざ帰る段になればやはり、ひとりにならざるを得ず、 希死念慮というものに取り殺されそうになっていたわたしを留めるために 家までやってきて泊まってくれたひとを、 昨日の朝、駅まで送って、
きまぐれにあるいて帰ってみた。
夏日の下、 買ったばかりの濃いみどりのローンのスカートをひるがえして 歩いてみた。
あるく。
この足があるいていく。
日差しはぎらぎらと熱く、風はつめたくふきとびながら 大きな交差点の十字にかけわたされた歩道橋の上で 立ち止まって、空をみた。
この目がそらをみた。
日曜日の朝9時半、 まだ本格的に動き始めていない少し眠たげで緩慢なとおりみち。
むかし、 わたしがうまれてまもないころ この歩道橋のまうえから ひとりのこどもが投げ落とされた事件があったという、その場所で わたしは今そらをみて そして足元をみて
生きているということを思っていた。
「わたしは生きている、しかし活きていない。」
それがほんとうなのかもしれないと 思いながら。
わたしは眠りにつくだろうのだろうか。
一日にいちど。 最低いちどの食事を摂取するしか ちからを持っていない、このからだとこころが その習慣をすませて、もう、 横たわりたいと、ほのかに叫んでいるのが わたしには きこえる。
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